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議員提出議案の詳細情報

発議案第1号 食と農林水産業の振興に関する条例

番号
発議案第1号
議決年月日
平成27年3月23日
議決結果
原案可決

添付ファイル

内容

【政策的議員提案条例】
 食と農林水産業の振興に関する条例

 目次
 前文
 第1章 総則(第1条−第7条)
 第2章 主要な施策(第8条−第18条)
 第3章 施策の推進(第19条・第20条)
 附則

 本県の農林水産業は、広い県土と変化に富んだ地勢が生み出す豊かで多様な自然環境に適応しながら、生産者のたゆまぬ努力と創意により生産が拡大され、全国でも有数の地位を築くとともに、安全で安心な農林水産物の供給を通じて、県民の豊かな食生活や地域の特色ある食文化を創造してきた。
 しかしながら、本県の農林水産業を取り巻く生産及び経営の環境は、従事者の減少、高齢化等による担い手の不足や、農林水産物の価格低迷、生産資材の価格高騰などにより、一段と厳しさを増しており、農林水産業者の努力や従来どおりの振興策だけでは、本県の農林水産業の発展を望むことは難しい状況となっている。さらには、東日本大震災津波による甚大な被害からの回復の途上にあるなど、生産現場では、経営の継続に大きな不安を抱えている。
 こうした状況の中、本県の基幹産業である農林水産業を魅力ある産業として発展させていくためには、農林水産業者が意欲をもって取り組める持続可能な農林水産業経営を確立し、良質な農林水産物を確保するとともに、県民の豊かな食生活の維持向上を図り、食文化を次代に継承するなど、時代の変化に対応した岩手ならではの食と農林水産業の方向性を明らかにし、行政、農林水産業者、県民等が一体となってその振興に取り組むことが肝要である。
 ここに私たちは、県民の参加と協力の下、本県の農林水産業の持続的な発展と安全で安心な食の生産、供給を通じた県民の豊かな暮らしの実現を目指すことを決意し、この条例を制定する。

  第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、食と農林水産業の振興に関し、基本理念及びこれに基づく施策の基本となる事項を定め、並びに県の責務並びに市町村、農林水産業者等及び県民の役割を明らかにするとともに、県民参加の下、食と農林水産業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって本県における農林水産業
の持続的な発展及び県民の安全で安心な暮らしの実現に寄与することを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 (1)農林水産業者等 農林水産業者、農林水産業に関する団体、農林水産業関連産業の事業者及び農林水産業関連産業に関する団体をいう。
 (2)農林水産業関連産業 食品産業その他の農林水産業に関連する産業をいう。

(基本理念)
第3条 食と農林水産業の振興は、次に掲げる事項を基本理念として行うものとする。
 (1)農山漁村の地域の特性に応じて、収益性の高い、安定的な農林水産業経営が確立され、将来にわたって農林水産業が持続的に営まれること。
 (2)食料の供給は、自然との調和を図りつつ、食の安全安心が確保され、多様化する消費者の需要に即するよう行われ、かつ、食料自給率の向上並びに農林水産業及び食品産業の健全な発展に資するよう行われるものであること。
 (3)地産地消の推進は、県民の豊かな食生活の維持及び向上並びに地域の伝統的な食文化の継承及び発展に資するものであること。

(県の責務)
第4条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、国、市町村、農林水産業者等及び県民と連携し、食と農林水産業の振興に関する施策を総合的に推進するものとする。
2 県は、国に対して、食と農林水産業及び農山漁村の振興に関する施策の提言を積極的に行うものとする。

(市町村の役割)
第5条 市町村は、地域の特性に応じて、食と農林水産業の振興に関する施策を推進するよう努めるものとする。

(農林水産業者等の役割)
第6条 農林水産業者及び農林水産業に関する団体は、自らが安全安心かつ良質な農林水産物の供給の主体であることを深く認識し、基本理念の実現に主体的に取り組むよう努めるものとする。
2 農林水産業関連産業の事業者及び農林水産業関連産業に関する団体は、その事業活動を行うに当たり、県産農林水産物の利用の促進及び付加価値の創出に努めるとともに、基本理念の実現に努めるものとする。

(県民の役割)
第7条 県民は、自らの暮らしを通じて、安全で安心な食料を安定的に供給する機能を有する農林水産業及び農山漁村の重要性に対する理解を深めるとともに、食と農林水産業の振興に協力するよう努めるものとする。

  第2章 主要な施策
(地域の特性を生かした農林水産業の推進)
第8条 県は、立地条件、気象条件等の多様な地域の特性を生かした農林水産業を推進するため、需要に即した農林水産物の生産の支援、品質向上のための技術の普及その他必要な施策を講ずるものとする。

(農林水産業経営の安定等)
第9条 県は、農林水産業の経営の安定及び発展を図るため、経営所得の安定に資する対策の充実、生産者の組織化、情報技術の利用の促進その他必要な施策を講ずるものとする。

(生産基盤の整備及び保全)
第10条 県は、農林水産業の生産性の向上及び農林水産物の安定的な供給を図るため、農地、農業用水及び農道、林道並びに漁港及び漁場の生産基盤の整備及び保全のための施策を講ずるものとする。

(中山間地域等における生産活動の振興)
第11条 県は、中山間地域等(山間地及びその周辺の地域その他の地勢等の地理的条件が悪く、農林水産業の生産条件が不利な地域をいう。)に適した生産活動が継続的に行われるよう、生産条件に関する不利の補正、野生鳥獣による被害の防止その他必要な施策を講ずるものとする。

(農林水産業の担い手の育成等)
第12条 県は、農林水産業への新規就業者、経営感覚に優れた農林水産業者等の多様な担い手の育成及び確保を図るため、農林水産業に係る生産技術、経営管理能力等の向上のための施策を講ずるものとする。
2 県は、農林水産業者が創意工夫を生かした効率的かつ安定的な経営を展開できるよう、経営規模の拡大等の農林水産業者の経営基盤の強化のための施策を講ずるものとする。

(安全安心かつ良質な農林水産物の生産及び供給の促進)
第13条 県は、安全安心かつ良質な農林水産物の生産及び供給を促進するため、農林水産物の流通及び加工の過程における衛生管理及び品質管理の高度化並びに農林水産物を利用した商品の流通及び加工の体制の整備に必要な施策を講ずるものとする。

(農林水産物の付加価値の向上等)
第14条 県は、県産農林水産物の付加価値の向上及び販路の拡大を図るため、産地銘柄の確立、農林水産業関連産業の事業者との連携の強化その他必要な施策を講ずるものとする。

(技術及び知識の向上)
第15条 県は、農林水産業の振興に資する技術及び知識の向上を図るため、研究開発の推進、研究機関等との連携の強化その他必要な施策を講ずるとともに、研究成果の普及に努めるものとする。

(地産地消の推進)
第16条 県は、地産地消を推進するため、県産農林水産物の積極的な利用等県民が当該農林水産物を安定的に購入し、消費することができる体制の整備のための支援、学校給食等における地産地消の取組の促進等の施策を講ずるものとする。

(食育の推進)
第17条 県は、健全な食生活の実現を図るため、家庭、学校、地域社会等において、望ましい食習慣、食の安全安心、地域の食文化等に係る情報の提供、食育に関する人材の育成その他必要な施策を講ずるものとする。

(関係団体との連携の強化)
第18条 県は、農林水産業の持続的な発展を図るため、意欲ある農林水産業の担い手の育成及び確保、農林水産物の生産集荷、販売戦略の展開等に関し、関係団体との連携の強化その他必要な施策を講ずるものとする。

  第3章 施策の推進
(施策の概要の公表)
第19条 県は、毎年度、食と農林水産業の振興に関して講じた施策の概要を公表するものとする。

(財政上の措置)
第20条 県は、食と農林水産業の振興に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

  附 則
 この条例は、平成27年4月1日から施行する。ただし、第19条の規定は、平成27年度に実施する施策から適用する。

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