発議案第1号 計画的な教職員定数改善及び義務教育費国庫負担制度拡充を求める意見書
議決日:令和4年7月5日
議決結果:原案可決
子供たちの豊かな学びを保障するため、その条件整備は不可欠であることから、令和5年度の政府の予算編成において、中学校、高等学校の35人学級の早期実現と計画的な教職員定数改善及び義務教育費国庫負担制度の拡充を図るよう強く要望する。
理由
国は、小学校の学級編制の標準を段階的に35人に引き下げることとしたが、中学校及び高等学校の35人学級の早期実施はもちろんのこと、きめ細かい教育活動の推進に当たっては、更なる学級編制の標準の引き下げや少人数学級の実現が必要である。
学校現場においては、学級編制基準に基づいた定数内配置や育児休業、病気休職者などの代替措置等が充足されていないなど、慢性的な教員不足により、教材研究や授業準備の時間を十分に確保することが困難な状況となっている。また、いじめ、不登校や別室登校、貧困、複雑な家庭環境など、問題が多様化・細分化しており、よりきめ細やかな指導が必要とされていることから、これらの問題に対応するため、多くの学校では個別的な教育活動を展開しており、その指導に対応する教員の配置も必要である。さらに、新型コロナウイルス感染症対策に伴う新たな業務への対応も継続しており、依然として教員の長時間労働が課題とされていることから、学校における豊かな学びや働き方改革の実現を図るためには、教職員の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善が不可欠である。
教育予算は、三位一体改革により、義務教育費国庫負担制度の負担割合が2分の1から3分の1に引き下げられたが、子供たちが全国どこに住んでいても、一定水準の教育を受けられることが憲法の要請するところであり、子供たちの豊かな学びを保障するための条件整備は不可欠である。厳しい財政状況の中、独自財源により人的措置等を行っている地方自治体もあるが、自治体間の教育格差が生じることは大きな問題であり、国庫負担割合の拡充が必要である。
よって、国においては、令和5年度の政府の予算編成において、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 中学校、高等学校での35人学級を早急に実施すること。また、更なる少人数学級について検討すること。
2 学校の働き方改革、長時間労働是正を実現するため、教職員の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善を推進すること。
3 自治体で国の標準を下回る学級編制基準の弾力的運用の実施ができるよう加配定数の削減は行わないこと。
4 教育の機会均等と水準の維持向上を図るため、地方財源を確保した上で義務教育費国庫負担制度の負担割合を引き上げること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。