発議案第11号 難病対策の総合的な推進を求める意見書
議決日:令和4年7月5日
議決結果:原案可決
難病で苦しんでいる人々が、将来に希望を持って生きられるよう、難病対策の改革に総合的に取り組むことを強く要望する。
理由
我が国の難病対策については、1972年に難病対策要綱が策定され、2015年には難病の患者に対する医療等に関する法律(以下「難病法」という。)が施行されて、法的根拠を持つ総合的対策として進められてきた。
特に、医療費助成は、長期療養により比較的若い時期から長期にわたる高額な医療費負担が必要となる難病特有の事情に着目して設けられた制度であり、これまで338の疾病が指定されている。
しかしながら、難病法において人口の0.1%程度以上の疾病や診断基準が明確でない疾病は医療費助成の対象とされていない状況は変わっておらず、今後一層の拡充が求められている。
また、経済的な支援のみならず、就労支援等、患者の社会参加の促進を図る取り組みも十分ではなく、官民一体となった取組が求められているところである。
よって、国においては、難病法第4条に基づき厚生労働大臣が定めた難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針により、難病で苦しんでいる人々が、将来に希望を持って生きられるよう、次のとおり難病対策の改革に総合的に取り組むことを強く要望する。
1 全ての難病を、難病法における指定難病とするとともに、指定難病の認定や見直しに当たっては、患者が抱える生活上の困難も十分に理解し、治療や療養生活の支援になるものとすること。
2 新規申請や軽症者の重症化に当たっては、認定を医療費助成の対象であると診断された日に遡ること。
また、臨床調査個人票、医療意見書等の文書料を含め、低所得者層の患者自己負担軽減を図ること。
3 重症度分類の基準について、疾病の特性を踏まえ、医学的な基準では補足できない患者の症状による日常生活及び社会生活の困難度等の実態が反映された適切なものに改めるとともに、薬等の一時的な治療効果によって見かけ上は軽症状態を維持している場合であっても、継続して治療等が必要な患者は、重症度分類の基準に関わらず全て医療費助成の対象とすること。
4 難病患者やその家族に対する難病相談支援活動の一層の促進のため、全国難病センター(仮称)を早期に設置するとともに、難病相談支援センターの支援体制の充実や、難病対策地域協議会の設置促進を図ること。
5 難病に対する国民理解の一層の醸成を図るとともに、官民一体となった難病患者の生活支援や就労支援を進めること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。