発議案第5号 令和5年度岩手県最低賃金改正等に関する意見書
議決日:令和5年3月23日
議決結果:原案可決
県内勤労者の労働条件の改善のため、令和5年度の岩手県最低賃金の改正に当たり、その引上げ等について、適切な措置を講ずるよう強く要望する。
理由
労働基準法第2条において、労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものと定められているが、最低賃金の影響を受けるパートタイム、有期労働契約及び派遣労働者の多くは集団的労使関係になく、労働条件決定に関与することが難しい状況にある。
一方、政府においては、物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策(令和4年10月28日閣議決定)において、非正規雇用労働者の待遇の根本的改善を図るため、同一労働同一賃金の遵守を一層徹底するほか、最低賃金について、景気や物価動向を踏まえ、地域間格差にも配慮しながら、できる限り早期に全国加重平均が1,000円以上となることを目指し、引上げに取り組むとしている。さらに、賃上げの促進、労働移動の円滑化、人への投資の強化を一体的に進めるとしている中にあって、岩手県最低賃金は、現在854円と過去最高の33円の引上げとなったものの、全国下位は変わっていない。
また、都市部との賃金格差解消に至っておらず、年間2,000時間働いたとしてもワーキング・プアの水準とされる年収200万円にも満たないことから、若者の他県への流出が懸念され、人手不足が深刻化する中にあって、県内勤労者の人材確保をさらに厳しくする要因となっている。
よって、県内勤労者の労働条件の改善のため、令和5年度の岩手県最低賃金の改正に当たり、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 令和5年度の岩手県最低賃金の改正に当たっては、深刻化する本県の人口流出の歯止めや人材確保、全国との格差解消、国の度重なる全国加重平均1,000円以上を目指すとの方針に鑑み、早期に1,000円を実現すること。
2 特定最低賃金の改正に当たっては、特定最低賃金の目的である労働条件の向上、事業の公正競争を確保する観点から最低賃金より高い水準を確保する必要性やこれまでの産業別における経緯等を十分勘案して審議し改正すること。
3 県内で最低賃金を下回る賃金の労働者をなくすため、事業所に対する指導監督を強化し、最低賃金制度の履行確保を図ること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。