発議案第6号 特定商取引法の平成28年改正における5年後見直し規定に基づく抜本的改正を求める意見書
議決日:令和5年7月7日
議決結果:原案可決
幅広い世代の消費者被害防止、救済に向けて、特定商取引に関する法律(以下、「特商法」という。)の抜本的改正を図るよう強く要望する。
理由
特商法の平成28年改正法の附則に定められた、いわゆる5年後見直し規定に基づく見直しの時期が、令和4年12月に経過した。
令和4年版消費者白書によると、令和3年度に全国の消費生活センター等に寄せられた消費生活相談は85.2万件で、特商法の対象分野の相談は全体の約55%という高い比率を占めている。とりわけ訪問販売、電話勧誘販売の割合は、認知症等の高齢者の消費者トラブルの中で48.6%と多数を占めている。このことから、超高齢社会において判断力の衰えた高齢者が悪質商法のターゲットにされていることがうかがわれ、早急な対応が必要である。
世代全体で見ると、インターネット通販に関する相談が27.4%と最多となっており、デジタル社会の進展、さらにはコロナ禍の影響もあって、インターネット通販におけるトラブルが増加していることが見て取れる。この傾向はデジタル社会の更なる進展とともに、今後更に強まると思われる。
また、マルチ取引(連鎖販売取引)に関する消費生活相談件数は毎年約9,000〜10,000件程度と無視できない件数で推移しているが、その半数近くが20歳代となっている。今後は、2022年4月の成年年齢引下げに伴い、18歳から19歳を狙ったマルチ取引被害の増加が予想される。
これらの被害に対処するためには、特商法の改正を早急に検討することが必要である。
よって、国においては、幅広い世代の消費者被害防止、救済を図るため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 訪問販売や電話勧誘販売について、事前拒否者に対する勧誘を禁止する制度を導入すること。
2 SNS等を通じた勧誘を伴うインターネット通販について、クーリング・オフや勧誘規制等の電話勧誘販売と同レベルの規制を導入するとともに、SNS事業者等に対し、消費者トラブル発生時における通信販売業者・勧誘者に関する情報の開示を義務付けること。
3 マルチ取引(連鎖販売取引)について、国による登録・確認等の開業規制を導入するとともに、被害の予防・救済のための規制を強化すること。
4 特商法の改正について、消費者庁に検討会を設置し、早急に検討を進めること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。