発議案第15号 ローカル鉄道の維持・確保に向けた支援の強化を求める意見書
議決日:令和5年7月7日
議決結果:原案可決
ローカル鉄道の維持・確保に向けた支援の強化を図るよう強く要望する。
理由
過疎化や少子高齢化の進む中山間地域を抱える本県において、ローカル鉄道は、コロナ禍の長期化等の影響により、輸送量及び運賃収入が減少し、維持・確保が困難になっている。
昨年7月に、JR東日本は利用者の少ない地方路線の区間別収支を初めて公表し、本県でも大船渡、釜石、北上、八戸、花輪、山田線の6路線10区間が大幅な赤字であることが明らかになった。また、三陸鉄道及びIGRいわて銀河鉄道も厳しい経営状況にある。
国は本年4月、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律などの一部を改正し、ローカル鉄道の再構築に関する仕組みとして、再構築協議会を創設し、協議が整うよう国が積極的に関与することとした。また、鉄道事業再構築事業を拡充したほか、今年度から社会資本整備総合交付金のメニューに「地域公共交通再構築」を追加するなど、これまでにない取組を行うこととした。
一方で、本県のような地方においては、地域公共交通の再構築を模索するとしても、各公共交通事業者は、経営的にも人材的にも余裕のない状況にあり、バス運転手の不足等、ローカル鉄道の代替え手段確保も困難な状況にある。
また、地方自治体においても老朽化した社会インフラを多く抱えており、地域公共交通への予算を確保するためには、社会資本整備総合交付金のメニュー追加のみならず、財政支援措置の拡充が求められている。
ローカル鉄道を含む全国的な鉄道ネットワークは、地域生活のみならず観光客の広域的移動手段等の経済活動を支える役割を果たすとともに、災害時の代替ルートの確保、国土強靱化、地方創生、国土の均衡ある発展等にも不可欠であることから、国がローカル鉄道を重要な社会インフラとして明確に位置づけ、国の交通政策の根幹として、国の責任において維持すべきである。
よって、国においては、ローカル鉄道の維持・確保を図るため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 地域住民の移動手段としてのみならず、さまざまな役割を有するローカル鉄道の維持・確保、活性化を図るための確実な予算確保及び財政支援措置を拡充すること。
2 鉄道ネットワークは全体として維持されるべきものであり、路線ごとに採算を合わせる必要はないことから、黒字路線の収益を赤字路線に配分するための仕組みを創設すること。
3 JR各路線だけでなく、それに接続している第三セクター鉄道などの路線への影響なども視野に入れた支援を行うこと。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。