発議案第1号 不登校児童生徒の多様な学習機会の確保のための経済的支援制度の確立を求める意見書
議決日:令和5年10月20日
議決結果:原案可決
不登校児童生徒の多様な学習機会の確保のため、経済的支援制度を確立するよう強く要望する。
理由
令和4年度の義務教育段階における不登校児童生徒数は全国で29万9,048人と10年連続で増加しており、岩手県内でも前年度比326人増の2,005人と、依然として高水準で推移している。
また、短時間でも登校すれば欠席にならないことなどによる実質的な不登校児童生徒数を鑑みると、潜在的な不登校児童生徒が多数在籍していると考えられる。
このような中、フリースクール等の民間施設を利用する際の家庭の実情を見ると、利用料月額約3万3千円(平成27年8月5日文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」より)という経済的負担に加え、民間施設が近くに無い場合には遠方への通学のための身体的、時間的、心理的負担も生じてくる。多様な学習機会を提供する民間施設への需要が高まっているのに対し、民間施設を設立するための経済的支援制度の制定は一部の自治体にとどまっている。
以上のことから、現状では、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(以下「教育機会確保法」という。)第3条第2号に明記されている基本理念「不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援が行われるようにすること」が果たされているとは言えない状態であり、早急に具体的対策を講ずる必要があると考える。
よって、国においては、不登校児童生徒の多様な学習機会の確保のため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 教育機会確保法制定時の衆議院文部科学委員会及び参議院文教科学委員会における附帯決議のとおり、不登校の児童生徒が、いわゆるフリースクール等の学校以外の場において行う多様な学習活動に対しては、その負担の軽減のための経済的支援の在り方について検討し、その結果に基づき必要な財政上の措置を講ずること。
2 いわゆるフリースクール等民間施設の設立及び運営に対する補助金等の経済的支援制度を確立すること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。