発議案第9号 産前・産後サポート、産後ケア体制の支援強化を求める意見書
議決日:令和5年10月20日
議決結果:原案可決
誰もが地域で安心して妊娠、出産、子育てができる切れ目のない環境づくりを進めるため、産前・産後サポート、産後ケア体制の支援の充実強化を図るよう強く要望する。
理由
近年、核家族化や晩産化、若年妊娠、地域のつながりの希薄化等により、産前、産後の身体的・精神的に不安定な時期に家族等の身近な人の助けが十分に得られず、不安や孤立感を抱いたり、うつ状態の中で育児を行う母親が少なからず存在している。その不安やうつ状態が子どもの虐待の誘因になることも指摘されており、産後の育児を家庭のみに任せるのではなく、母親の孤立を防ぎ、生活している地域で様々な支援を行うことが重要である。
妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援を目指す子育て世代包括支援センターの設置については、令和2年度までに全国展開を目指すとしていたが、本県では33市町村中31市町村と、まだ全ての市町村での事業実施には至っていない。また、事業内容には地域格差も生じており、妊産婦を支える十分な支援につながっていないのが実情である。
令和元年12月に公布された改正母子保健法では、市町村は、産後ケア事業を行うよう努めなければならないとされており、第4次少子化社会対策大網においては、この改正母子保健法を踏まえ、産後ケア事業について、令和6年度末までの全国展開を目指すとされたところである。
さらには、本年6月に定められたこども未来戦略方針においては、産後ケア事業の利用者負担の軽減措置を本年度から全ての世帯に対象を拡大して実施するとともに、支援を必要とする全ての方が利用できるよう取組を進めるなど、子育て家庭の産前、産後の心身の負担軽減を図る観点から実施体制の強化等を行うこととされたところである。
よって、国においては、誰もが地域で安心して妊娠、出産、子育てができる切れ目のない環境づくりを進めるため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 産後ケア事業及び産婦健康診査事業等の実施に関する調査結果等も参考にし、全ての地方自治体において、十分な産前・産後サポート、産後ケア体制を構築できるよう支援の充実を図ること。
2 産後ケア事業について、地域の実情に応じた宿泊型、デイサービス型、アウトリーチ型などの支援内容となるよう、地方自治体への財政的支援を講ずること。
3 産前、産後の母子の心身の適切なケアが提供できるよう、産前・産後サポート、産後ケアを担う人材育成を目的とした研修を行うこと。
4 若年妊娠、特定妊婦等への支援を強化し、若者に対する性や妊娠などの健康相談体制の充実を図ること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。