発議案第11号 ツキノワグマなどの鳥獣による被害防止対策の充実・強化を求める意見書
議決日:令和5年12月12日
議決結果:原案可決
ツキノワグマなどの鳥獣による被害防止対策を充実、強化するよう強く要望する。
理由
近年、ツキノワグマの生息域の拡大等により、全国各地で住宅街や学校等への出没が相次ぎ、市街地やその周辺において、人身被害が数多く発生する事態が生じている。本県においても、今年に入って過去最悪の人身被害が発生するなど、これまでにない危機的状況に置かれている。
また、野生イノシシの被害報告も増加傾向にあり、野生イノシシ由来の豚熱ウイルスが養豚業に被害を及ぼしたと考えられる事例も報告されるなど、野生鳥獣による人身被害や農林業被害等が恒常的に発生していることから、更なる対応が求められている。
よって、国においては、ツキノワグマなどの鳥獣による被害防止対策を充実・強化するため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 ツキノワグマの科学的、計画的な管理を推進するため、国において必要な生息実態調査を行うこと。
2 ツキノワグマを地域の実情に応じて指定管理鳥獣に指定し、指定管理鳥獣捕獲等事業交付金の対象にすること。
3 ツキノワグマ捕獲強化に資する事業の実施のほか、捕獲に対する報酬や出動経費及び河畔林や放置された果樹の伐採などの誘因物対策への支援等、ツキノワグマ出没対策に係る新たな財政的、技術的な支援制度の創設を図ること。
4 狩猟免許取得に対する支援の強化や捕獲従事者への報酬に対する財政措置等、鳥獣保護管理に携わる人材の確保及び育成に国を挙げて取り組むこと。
5 人家周辺等での銃器の使用について、関係法令の運用基準の明確化等を図るとともに、建物内に侵入したツキノワグマを現場の状況に応じ適切な方法で有害鳥獣捕獲を実施できるよう、有害鳥獣捕獲における麻酔銃猟について法令等の見直しを行うこと。
6 法に基づき適正に行われたツキノワグマの捕獲に対し、捕獲関係者が不当な非難を受けることのないよう、国民に対し法に基づく有害鳥獣捕獲の制度や捕獲の必要性等の啓発を行うこと。
7 鳥獣被害防止総合対策交付金を増額するとともに、ツキノワグマの捕獲経費の引上げや出動経費を交付対象にするなど、地方の負担が軽減されるよう制度の見直しを行うこと。
8 有害鳥獣として捕獲した個体や食肉加工残渣等の適正処理に対する支援措置を拡充すること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。