発議案第11号 森林・林業・木材産業の活性化に関する意見書
議決日:令和6年3月22日
議決結果:原案可決
森林資源の循環利用を確立し、カーボンニュートラル、グリーントランスフォーメーション(GX)、国土強靱化、地方創生、さらには花粉症対策にも貢献する森林・林業・木材産業によるグリーン成長実現のため、森林・林業・木材産業の活性化に関する施策を講ずるよう強く要望する。
理由
昨年6月、本県において第73回全国植樹祭及び第51回全国林業後継者大会を開催し、森林・林業の重要性や林業の魅力を全国に発信したところである。この2つの大会を契機に、本県としても健全で豊かな森林を次の世代にしっかりと引き継ぐため、カーボンニュートラルやGXを推進し、森林の整備や県産木材の利用を促進するとともに、本県が有する豊富な広葉樹などの森林資源を生かした林業の振興を図ることとしている。
しかしながら、山村地域における過疎化及び高齢化の進行による林業従事者の減少により、林業及び木材産業の生産活動の停滞や、多面的機能の低下が懸念されている。
また、国民病ともいわれる花粉症に対応したスギ人工林の伐採、植替え等の花粉発生源対策を推進していくためには、補助金や助成金等の支援にとどまらず、長期的な視野に立った的確な措置が必要である。
よって、国においては、森林資源の循環利用を確立し、カーボンニュートラル、GX、国土強靱化、地方創生、花粉症対策にも貢献する森林・林業・木材産業によるグリーン成長実現のため、次の施策を講ずるよう強く要望する。
1 間伐や主伐後の再造林の着実な実施、林道を始めとする路網整備、病虫獣害対策等に必要な予算を十分に確保すること。
2 高性能林業機械、苗木生産、森林資源情報など生産基盤の整備、木材加工流通施設の整備、木材利用の促進による国産材の需要拡大など、国産材の安定的かつ持続的な供給体制の強化に向け、川上から川下までを通した総合的な対策を強力に推進すること。
3 花粉発生源スギ人工林減少推進計画に基づくスギ人工林の植替えに際しては、スギ人工林の植林が国策によって進められた経緯を十分に踏まえ、地方公共団体に過度な負担とならないよう予算を十分に確保すること。
4 緑の雇用事業等による林業従事者の育成、確保や労働安全対策の強化等の取組を一層推進するとともに、造林に係る林業経営体の新規立ち上げへの支援や林業アカデミー等における人材育成への支援、デジタル技術を含む多様な技術の習得等に対する支援の強化、技能評価の仕組みの創設、木材産業を含めた外国人材の受入体制の整備など、多様な担い手の育成、確保の取組を推進すること。
5 伐採から再造林、保育に至る収支をプラス転換する新しい林業の実現に向け、エリートツリー等の生産拡大、レーザー計測等の活用による森林情報の精度向上、高度利用、林業機械の自動化、遠隔操作化技術や木質系新素材の開発、実証、さらには、地域一体となって林業活動にデジタル技術をフル活用する取組を支援するなど、林業のデジタル化とイノベーションを積極的に推進すること。
6 広葉樹林業の振興を図るため、生産加工体制の整備支援の拡充、ナラ枯れ被害の予防目的の伐採支援事業を推進すること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。