発議案第1号 計画的な教職員定数改善及び義務教育費国庫負担制度拡充を求める意見書
議決日:令和6年7月4日
議決結果:原案可決
子どもたちの豊かな学びを保障するため、その条件整備は不可欠であることから、令和 7 年度の政府の予算編成において、中学校、高等学校の 35 人学級の早期実現と計画的な教職員定数改善及び義務教育費国庫負担制度の拡充を図るよう強く要望する。
理由
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律の施行により、公立小学校の学級編制の標準が小学校2年生から35人に段階的に引き下げられたが、中学校、高等学校での早期引下げも必要である。
本年4月4日公表の文部科学省による教員勤務実態調査(令和4 年度)集計確定 値)では、 時間外在校等時間の月平均が公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針が示す上限の 45 時間を超えている教職員が小学校で約 65 %、中学校で約77 に上り 、子どもたちに向き合うための時間を十分に確保することが困難な状況となっている。 学校現場においては、子どもたちの多様化が一層進展するなどの状況下において、貧困、いじめ、不登校、ヤングケアラー、性の不一致 、保護者への対応など、解決すべき問題が 多様化している 。 学校における豊かな学びや働き方改革の実現を図るためには、更なる学級編制の標準の引下げ、少人数学級を実現するとともに、加配教員の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善が不可欠である。
教育予算は、三位一体改革により、義務教育費国庫負担制度の負担割合が2分の1から3分の1に引き下げられたが、子どもたちが全国どこに住んでいても、一定水準の教育を受けられることが憲法の要請するところであり、定数改善に向けた財源を確保し、義務教育を保障するための条件整備は不可欠である。厳しい財政状況の中、独自財源により人的措置等を行っている地方自治体もあるが、自治体間の教育格差が生じることは大きな問題であり、国庫負担割合の拡充が必要である。
よって、国においては、令和 7 年度の政府の予算編成において、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 中学校、高等学校での35人学級を早急に実施すること。また、更なる学級編制標準の引下げ等、 少人数学級について検討すること。
2 学校の働き方改革、長時間労働是正を実現するため、教職員の増員や少数職種の配置増など教職員定数改善を推進すること。
3 自治体で国の標準を下回る学級編制基準の弾力的運用の実施ができるよう加配 定数 の削減は行わないこと。
4 教育の機会均等と水準の維持向上を図るため、地方 財源 を確保した上で義務教育費国庫負担制度の負担割合を引き上げること。
上記のとおり地方自治法 第99条の規定により意見書を提出する。