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議員提出議案

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件名

発議案第1号 ゲノム編集技術応用食品の取扱いについて表示等を含めた更なる検討を求める意見書

本会議議決結果

議決日:令和7年3月25日
議決結果:原案可決

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内容

  ゲノム編集技術応用食品の取扱いについて、消費者の懸念に応えるような情報提供を一層進め、表示等を含めた更なる検討を行う よう強く要望する。
  理由
  ゲノム編集技術応用食品とは、特定の機能を付与することを目的として、染色体上の特定の塩基配列を認識する酵素を用いてその塩基配列上の特定の部位を改変するゲノム編集技術を用い得られた生物の全部又は一部に該当する食品等のことであり、大学の研究者がベンチャー企業を立ち上げるなど、様々な研究が進められている。
ゲノム編集技術応用食品のうち、特定の遺伝子を挿入して作られ、最終的に外来の遺伝子及びその一部 を含むものについては、遺伝子組換え食品として扱われ、生物多様性への影響評価や食品安全性審査及び 遺伝子組換え 食品 表示制度等が存在しているが、ゲノム編集技術応用食品のうち遺伝子組換え食品に該当しない食品については、そのDNAの変異は自然界又は従来の品種改良で起こる変化の範囲内であるとの理由で、国への情報提供や届出の必要はあるものの生物多様性への影響評価及び食品安全性審査は行われず、食品表示義務もない。
  日本においては令和元年にゲノム編集技術応用食品の販売が解禁され、既にトマト、トウモロコシ、ジャガイモなどの農産物や、マダイ、トラフグ、ヒラメなどの水産物の届出が受理されている。そのうちのいくつかは既に市場に流通しており、今後届け出される品目が増えることが予想される。
  ゲノム編集技術応用食品は、メリットが強調され国内で次々と開発されようとしているが、開発途上の技術であり、遺伝子の人為的操作により予期せぬ変異を起こしたり、新たな毒性やアレルギーを誘発するのではないかと問題視する科学者もいる。また、ゲノム編集された種子であることを知らずに植えてしまった場合、普通の作物への交雑による影響はないかなど、農林水産業や環境への影響を心配する生産者もいる。
  消費者基本法では、消費者には必要な情報及び教育の機会が提供される権利と、自主的かつ合理的な選択の機会が確保される権利があるとしている。
  しかし、現在、ゲノム編集技術応用食品に関する情報が十分に消費者に伝わっている状況とは言い難く、更に食品表示もないため、ゲノム編集技術応用食品を利用したい人が自らの意思で選ぶことはできず、逆にゲノム編集技術応用食品を避けたい人が知らずに食べてしまうことになるため、表示を求める声が広がっている。
  よって、国においては、ゲノム編集技術応用食品の取扱いについて、消費者の懸念に応えるような情報提供を一層進め、表示等を含めた更なる検討を行うよう強く要望する。
  上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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