発議案第3号 最低賃金改正等に関する意見書
議決日:令和7年3月25日
議決結果:原案可決
勤労者の労働条件の改善のため、最低賃金の引上げ及び中小企業に対する支援の充実について、適切な措置を講ずるよう強く要望する。
理由
労働基準法第2条において、労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものと定められているが、最低賃金の影響を受ける労働者の多くは集団的労使関係になく、労働条件決定に関与することが難しい状況にある。
一方、政府においては、国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策(令和6年 11 月 22 日閣議決定)において、適切な価格転嫁と生産性向上支援によって最低賃金の引上げを後押しし、2020年代に全国平均1,500円という高い目標の達成に向け、たゆまぬ努力を継続するとともに、地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率を引き上げるなど、地域間格差の是正を図るとしている。更には、物価上昇を上回る賃金上昇を全国的に幅広く普及、定着させるため価格転嫁の円滑化等の環境整備を推進するとともに、経営基盤の強化、成長に向けた支援を充実するとしている中にあって、本県の最低賃金は、現在952円と過去最高の59円の引上げとなり全国最下位は脱したが、依然下位にある。
また、都市部との最低賃金の差はいまだに解消されず、年間2,000時間働いたとしてもワーキング・プアの水準とされる年収200 万円にも満たないことから、若者の他県への流出 による労働力不足の深刻化が顕著となっているなど、県内勤労者の人材確保を更に 厳しくする要因となっている。
これらの課題に対応するためには、サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正配分を進めるとともに、 中小企業、小規模事業者支援制度の充実や価格転嫁の円滑化などを通じた企業の経営基盤の強化、成長に資する実効性のある施策が重要であり、国による更なる積極的な関与が必要である。
よって、国においては、最低賃金の引上げ及び中小企業に対する支援の充実について、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 最低賃金に関し、次の事項を改善すること。
(1) 最低賃金は最低生計費を満たす金額とし、時 給 1,500 円以上 の早期達成を目指すこと。
(2) 全国一律最低賃金制度の確立等、地域間格差を縮小させるための施策を進めること。
2 以下の制度改正を行うこと。
最低賃金を引き上げ、中小企業の経営が継続できるように、社会保険料を企業規模に応じたものに転換し、負担軽減を図るとともに、 賃金引上げの直接助成制度等を実現し、中小企業への支援策を最大限拡充すること。
3 生活困窮から抜け出せない労働者が、生活向上を実感し、将来への希望と安心を実現できる実効性のある対策を行うとともに、現下における原材料、エネルギー関連費の高騰、物価高の克服のため、価格転嫁の円滑化、中小企業、小規模事業者に対する実効性ある支援制度の充実と利用促進のための周知を強化すること。
上記のとおり地方自治法 第 99 条の 規定により意見書を提出する。