発議案第11号 高病原性鳥インフルエンザ対策の強化を求める意見書
議決日:令和7年3月25日
議決結果:原案可決
高病原性鳥インフルエンザ対策のさらなる強化に向け、農場や地方自治体への支援を拡充す るよう強く要望する。
理由
高病原性鳥インフルエンザは、今シーズン令和6年10月17日に国内1例目が確認されて以来、令和7年2月11日時点で14道県51事例が発生し、約932万羽が殺処分の対象となっている。これは過去最多の発生となった令和4年シーズンに匹敵するペースであり、全国どこで起きてもおかしくない状況である。
岩手県では令和7年1月2日に1例目が発生し、累計5件、約123万羽の殺処分が行われた。これまでは県職員を動員して対応してきたが、今般、大規模農場での発生や複数農場での連続発生など、これまでに経験したことのない事態に直面したことから、自衛隊や他の道府県、県内市町村、民間企業など、多数の機関の応援を得て対応した。県では延 べ1 万人を超える職員を動員し、関係団体とともに昼夜を徹した防疫措置を実施したが、通常業務にも影響を与え、職員に大きな負担をかけることになった。このように防疫措置が長期化した場合、地方自治体単独での対応は困難であり、財政及び人材の支援が不可欠である。
さらに、感染が発生した場合、発生した養鶏農場はもとより、関連事業者も甚大な被害が生じるとともに、鶏卵価格の高騰を招くなど社会全体に与える影響も大きい。
また、発生農場や移動制限・搬出制限区域内の農場の損失に対する手当金や、殺処分範囲を限定し影響を緩和するための農場分割管理の導入に対する補助についても十分とは言えない状況にある。
よって、国においては、高病原性鳥インフルエンザ対策のさらなる強化に向け、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 高病原性鳥インフルエンザの発生で損害を受けた養鶏農場 の早期経営再開や経営安定を支援するため、へい殺畜等手当金の迅速な交付や、手当金額等の拡充を図るとともに移動制限・搬出制限区域の設定により影響を受けた養鶏農場等に対する経営支援を拡充すること。
また、運送業や卵選別包装施設等、発生及び移動制限等を受けた農場と取引のある関連事業者における損失補てんの財政措置を講 ずること。
2 農場の分割管理導入に伴う整備及び改修経費には多大な経費を要することから、補助額の上限を撤廃するなど、負担軽減策を拡充すること。
3 家畜伝染病予防法第16条の本旨に基づき、家畜の所有者が殺処分の防疫措置に必要な人材や機材などを確保して、主体的に防疫措置を講ずる場合の財政面や効率的な手法などの支援について指針等に明記すること。
4 大規模農場での発生や同時・連続発生を想定し、国において殺処分を含む防疫作業に対応可能な民間事業者を育成し、都道府県が委託可能な民間業者の名簿作成等を検討すること。
5 発生時に地方自治体が要した経費について、職員の超過勤務手当等の人件費などを含めた補助対象経費の拡充や、民間委託等の実施に要する経費について補助率の引き上げなど、財政措置を充実すること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。