発議案第12号 外国法人等による土地の取得及び利用を制限するための法整備を求める意見書
議決日:令和7年3月25日
議決結果:原案可決
外国法人等による土地の取得及び利用を制限するため、必要な法整備等に早急に取り組むよう強く要望する。
理由
近年、全国各地で外国の法人又は個人(以下「外国法人等」という。)による土地の取得が進んでいる。沖縄県では大きな無人島の土地が、宮崎県では東京ドーム150個分の土地が外国法人等に購入される事態が起こっており、また北海道をはじめとする全国各地において水源地である山林の買収が進んでいる。さらには土地以外の不動産の取得も増加しており、外国の警察組織が日本国内に活動拠点
を設け、我が国の主権を侵害するような活動を行う事例も見られるようになった。
また、令和4年、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律 以下(「 重要土地等調査法 」 という。)が施行されたが、この法律の対象は重要施設の周辺の区域内及び国境離島等の区域内にある土地等に限定されており、対象区域外の住宅地、農地、マンションなどは含まれていないため、今後もこうした不動産が外国法人等により取得され、我が国の
主権が脅かされるおそれもあり、安全保障上の重大な問題に発展しかねない。
我が国は、世界貿易機関のサービスの貿易に関する一般協定(以下「GATS」という。)への批准加盟時に外国人等による土地の取得及び利用を制限する権利を留保しなかったため、内外差別的な取扱いとなる立法を行うことが原則的に認められていない。しかしながら、GATS加盟国においても、安全保障の観点から、外国法人等に対する土地の取得及び利用を制限する権利を留保することにより、自国の国内法 で外国法人等の土地取得を制限することができている国もあり、相互主義の観点から我が国においても同様の制限を課すべきである。
一方で、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定においては外国人土地法を根拠に「日本国における土地の取得又は賃貸借を禁止し、又は制限することができる。」との留保条項 を盛り込んだが、同法は戦前の古い法律であるため規制対象を定めることができていないなどの課題がある。
よって、国においては、外国法人等による土地の取得及び利用を制限するため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 重要土地等調査法の対象が重要施設周辺及び国境離島に限定され、住宅地や農地などは対象外となっている ため 、安 全保障の観点から重要土地等調査法の対象区域を拡大すること。
2 国土保全の取組を推進するため、早急に外国法人等による土地取得に対しGATS加盟国との協議を進めることによる相互主義制度の創設や、外国人土地法を改正する等の見直しを図ること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。