発議案第3号 森林・林業、木材産業関連施策の充実を求める意見書
議決日:平成18年12月11日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、農林水産大臣
森林・林業、木材産業関連施策の充実を求める意見書
森林・林業基本計画に基づき、森林・林業、木材関連産業施策の一層の充実を図るとともに、計画の実行を確保するため、特段の措置を講じられたい。
理由
真に豊かさとゆとりを実感できる国民生活の実現が求められる中で、森林は災害の防止や水源のかん養、保健休養の場としての活用など、国民の良好な生活環境を維持するうえで欠かすことのできない重要な役割を担っており、また、近年、地球規模での環境問題の高まりの中で、生物多様性の確保や地球温暖化防止への貢献など、森林に寄せられる期待は極めて多様なものとなってきている。
しかしながら、これまで、その生産活動を通じて森林の整備を担ってきた林業は、戦後育成されてきた人工林が成熟期を迎えつつあるものの、長期にわたる木材価格の低迷による林業経営意欲の低下等から、生産活動が停滞し、間伐が実施されない人工林や伐採跡地の更新放棄が顕在化するなど、森林が果たすべき多面的な機能の低下が危惧される状況となっている。
また、森林の循環的な利用を担う木材産業についても、依然として小規模で生産性の低い製材工場が主体となっており、住宅に対する品質水準の高まりの中で、精度や強度の明らかな木材製品を求める需要者ニーズに十分対応できないなど、構造改革が立ち遅れている。
加えて、この間、わが国の森林行政の中核を担い、民有林行政との連携を果たしてきた国有林野事業は、一般会計化・独立行政法人化が検討されるなど、国民の共有財産である国有林の管理が危ぶまれている。
こうした中、本年9月に閣議決定された森林・林業基本計画では、「緑の社会資本」である森林の恩恵が将来にわたって国民が享受できるよう、多様で健全な森林への誘導、国土保全等の推進、林業・木材産業の再生を柱として、森林整備や国産材利用の促進、林業労働力の確保等の対策を推進することとされたところである。
よって、国においては、この新たな森林・林業基本計画に基づき、森林・林業、木材産業関連施策の一層の充実を図るとともに、計画の実行を確保するため、下記の措置を講じられるよう強く要望する。
1 森林・林業基本計画に基づく、多様で健全な森林の整備、林業・木材関連産業の再生等、森林・林業、木材関連産業施策の展開に必要な予算措置を講じること。
2 国民の多様な要請に応えた森林整備を進め、良好な森林環境を次の世代に引き継いでいけるよう、森林整備を着実に推進するとともに森林環境税の創設など財源の確保を図ること。
3 松くい虫被害の拡大を防ぐため、被害先端地域における予防対策・駆除対策の重点化及び保全すべき松林の重点化等、対策の強化を図ること。
4 森林の適正な整備及び安定した木材供給を図るため、意欲ある林業事業体等が森林所有者に代わって地域林業の担い手になれるよう、施業の集約化や低コスト生産に対する支援を充実すること。
5 木材の需要構造の変化を踏まえ、木材産業の競争力を強化するため、需要者ニーズに対応した製材・加工施設の大規模化や供給・販売戦略の強化に対する支援を充実すること。
6 森林整備で発生する間伐材等の未利用資源を木質バイオマス燃料として活用するなど、木質バイオマス利用に対する支援を充実すること。
7 国有林野事業について、安全・安心な国土基盤の形成と、地域振興に資する管理体制の確保を図ること。特に、国有林野事業特別会計改革にあたっては、国民の共通財産である国有林の持続可能な森林管理と、技術者の育成・確保を国が責任を持って図ること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。