発議案第5号 ウイルス肝炎患者の療養環境改善を求める意見書
議決日:平成18年12月11日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣
ウイルス肝炎患者の療養環境改善を求める意見書
国内には多くのウイルス肝炎患者が存在しており、検査体制の整備や患者に対する相談事業をはじめ、適正な治療のための専門医師の確保対策等が急がれることから、ウイルス肝炎に対する総合的施策の充実を早急に進められるよう要望する。
理由
我が国には、C型肝炎患者がおよそ200万人、B型肝炎患者がおよそ150万人もいるといわれ、ウイルス肝炎はまさに国民病である。しかも、その大半が、輸血、血液製剤の投与、予防接種における針・筒の不交換などの不潔な医療行為による感染、すなわち医原性によるものと言われている。
B型肝炎については、集団予防接種によるB型ウイルス感染被害者が、国を被告として損害賠償を求めた訴訟の最高裁判決が昨年本年6月16日に出され、この判決では国の行政責任が認められたところである。
また、C型肝炎についても、血液製剤の投与によるC型肝炎ウイルス感染被害者が、国と製薬企業を被告として損害賠償を求めた薬害肝炎訴訟について、大阪地裁判決が本年6月21日に、福岡地裁判決が本年8月30日出され、これらのいずれの判決でも国の行政責任・製薬企業の不法行為責任を認めている。
このように、司法の場では、ウイルス肝炎の医原性について、国の政策の過ちが明確に認定されている。
B型、C型肝炎は、慢性肝炎から肝硬変、肝臓がんに移行する危険性の高い深刻な病気といわれ、本県でも2003年において、肝がんなどの死亡者数は年間400人を超えている状況にある。
C型肝炎は60歳を過ぎて肝硬変、肝がんへ病状が進む人が多く、高額な治療費により生活困窮に陥る人も出てきていることら、C型肝炎対策に対する総合的な施策充実が求められている。
このような事態にかんがみ、政府は、すべてのウイルス肝炎患者の療養支援するための諸施策に直ちに取りかかるべきである。
よって、国においては、下記の事項について措置を講じられるよう強く要望する。
1 薬害肝炎訴訟を直ちに終結し、適切な賠償を実施すること。
2 ウイルス検診体制の拡充と検査費用の負担軽減をすること。
3 ウイルス肝炎の治療体制の整備、とりわけ治療の地域格差の解消に努めること。
4 ウイルスキャリアに対する偏見・差別を一掃すること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。