発議案第8号 ウイルス性肝炎患者の救済支援について一層の充実を求める意見書
議決日:平成20年7月7日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣
ウイルス性肝炎患者の救済支援について一層の充実を求める意見書
ウイルス性肝炎患者の根本的救済を可及的速やかに進めるため、救済対象者の範囲拡大、治療に専念できる態勢の整備、適正な治療の確保など、総合的な施策の推進を強く要望する。
理由
わが国にはウイルス性肝炎患者がおよそ350万人おり、その大半が、輸血、血液製剤の投与、予防接種などの医療行為によって感染した、医原性によるものといわれている。
B型肝炎、C型肝炎の感染をめぐる訴訟ではともに国の行政責任や製薬会社の不法行為責任が認められるなど、司法の場ではウイルス性肝炎の医原性について、国の政策の過ちが明確に認定されている。
いわゆる薬害肝炎をめぐっては、今年1月、感染被害者救済給付金支給法案が成立し一定の進展は見られたところであり、ウイルス検査体制の拡充と検査費用の軽減策なども進められているが、いわゆる薬害肝炎患者との因果関係の証明にはカルテの存在が不可欠とされ、法定保存期間経過後の問題などもあり、薬害被害の証明が困難で救済につながりにくい実態がある。
また、医療費助成についても、インターフェロンによる根治治療のみ対象とされるなど限定的な運用であり、インターフェロン投与による副作用等を考慮して治療方法を選択するなどしている患者にとっては、安心して治療を受けられる公的援助には程遠くなっている。
ウイルス性肝炎は、慢性肝炎から肝硬変、肝臓ガンに移行する危険性の高い病気といわれ、本県でも2006年において死亡者数は年間430人を越えている現状にある。
また、C型肝炎では60歳を過ぎて病状が進むケースも多く、高額な治療費が生活困窮を招く事例も出ていることから、総合的な対策を一層進める必要がある。
とりわけ地方においては、治療環境や薬害患者認定のための法律的サポート体制が脆弱であり、全てのウイルス性肝炎患者の療養支援にむけた諸施策に直ちに取り組むべきである。
よって国においては、下記の事項について措置を講じられるよう強く要望する。
1 薬害肝炎患者認定の要件緩和など、患者全ての救済を行うこと。
2 薬害肝炎患者認定にむけた手続きのサポート体制について地域格差のないよう措置を講じること。
3 ウイルス性肝炎患者の治療態勢の整備、治療の地域格差解消に努めること。
4 全てのウイルス性肝炎患者が安心して治療に専念できる公的支援を行うこと。
5 肝炎対策支援のための法的整備を進めること。
6 ウイルスキャリアに対する偏見・差別を一掃すること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。