発議案第10号 「食の安全確保」への取組み強化と省庁横断的な消費者行政の推進を求める意見書
議決日:平成20年12月10日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、食品安全担当大臣、消費者行政推進担当大臣
「食の安全確保」への取組み強化と省庁横断的な消費者行政の推進を求める意見書
「食の安全確保」への取組みを強化するとともに省庁横断的な消費者行政を推進するための組織を早期に創設し、特段の施策を講ずるよう強く要望する。
理由
近年、食品表示に関する悪質な偽装や、有害物質の混入、事故米問題など「食の安全」を根底からゆるがす事件や事故が多発している。
特に事故米問題では、農林水産大臣と同事務次官が辞任する極めて異例の事態に発展した。食品製造業者等の消費者軽視の行為は厳しく処罰されるべきであるが、それ以上に、国民の生命と生活を預かるはずの農林水産省が、その役割を果たさなかっただけでなく被害を拡大させた責任は重大であり、国民の不信、怒りは極めて大きい。
現在、農林水産省では「農林水産省改革チーム」を設置し、業務、組織の見直しを行うための取組みを進めているところであるが、今後、同様の事態を二度と起こさないためにも、猛省と改革を強く促すものである。
また、食の安全に関する問題だけでなく、近年相次いでいる消費者の不安と不信を招いた事件はどれも深刻な様相を呈しているが、政府の消費者行政推進会議の報告書(6月13日)によれば、これまでの事件は、やはり縦割り行政の欠陥が大きな要因とされている。
ついては、国においては、「食の安全確保」への取組みを強化するとともに省庁横断的な消費者行政を推進するための組織を早期に創設し、次の施策を講じるよう強く要望する。
1 偽装表示を一掃するため、JAS法等食品表示関係法を改正し、直罰規定を設けるなど罰則を強化すること。
2 農業生産の工程管理や農場から食卓に至る衛生管理の普及・徹底により食品の安全性を高めるとともに、トレーサビリティーシステムの導入を促進し食品の流通を一層明確にすること。
3 輸入食品の安全性に関する情報提供を迅速かつ適切に行うとともに、監視、検査体制の強化・拡充を図ること。
4 強力な権限を有し、政策全般にわたる消費者保護のための組織を設置する法令等を整備すること。
5 消費者保護のための法整備を行い、商品等が消費安全性を欠くことにより重大事故等が発生し急迫した危険がある場合の当該商品等の譲渡等の禁止や違反して譲渡等を行った場合の回収命令、これらに違反した場合の罰則強化などを図ること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。