発議案第13号 雇用・能力開発機構のあり方に関する意見書
議決日:平成20年12月10日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、厚生労働大臣
雇用・能力開発機構のあり方に関する意見書
職業能力開発及び訓練機会の持続的・全国的展開や、住宅施策の一翼を担っている雇用促進住宅事業など、地域経済に大きな影響を及ぼす機構の事業について、特段の措置を講ずるよう強く要望する。
理由
昨年末に閣議決定された「独立行政法人整理合理化計画」に基づく有識者会議は、9月17日に「雇用・能力開発機構」の業務について、廃止、又は地方・民間・他法人への移管を進め、同法人を解体する方向を示す一方、この有識者会議とは別個に機構のあり方を検討してきた厚生労働省の検討会は、同機構が果たしてきた雇用のセーフティネットとしての役割を評価することを表明している。
非正規労働者が年々増加し、いまや全就業者の3分の1を超えるまでになった雇用の現状にあって、雇用対策法の理念でもある若者の雇用促進や、女性・高齢者への就業機会の拡大、職業能力の開発支援に対する国の責務は益々重要になっている。景気後退局面の現在、派遣の打ち切り、期間工の雇い止め、中小企業の体力低下など雇用情勢の悪化は、明らかに日本経済の先行きに暗い影を落とす主要な原因となりつつある中にあって、機構のあり方に関する議論は、わが国の雇用政策・経済対策の両面から検討しなくてはならない。
よって、国においては、職業能力開発及び訓練機会の持続的・全国的展開や、住宅施策の一翼を担っている雇用促進住宅事業など、地域経済に大きな影響を及ぼす機構の事業について、よく議論して丁寧な対応を行うよう、次の事項を強く要望する。
1 正規雇用と派遣・期間工との待遇格差の縮小、正規雇用の増大に向けて、職業訓練機会の提供とその拡充を図り、雇用情勢に則した国の責務を全うすること。
2 雇用・能力開発機構の見直しにあっては、民間では困難な職業訓練機能の拡充に配慮し、都道府県間の格差などを生むことなく、全国的な一定水準での継続的事業展開が可能な対策を行うこと。
3 機構の個別事業については、業務実績を詳細に検証・評価し、よく議論して見直しに取り組むこと。
4 雇用促進住宅の廃止・売却については、地域の住宅事情や自治体との協議等も踏まえ、現に入居している方々への誠意ある説明と対応を行い、十分な配慮のもとでの転住策を講じ、強制的退去措置をとらないよう務めること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。