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議員提出議案

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件名

発議案第1号 みちのく岩手観光立県基本条例

本会議議決結果

議決日:平成21年3月25日
議決結果:原案可決

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内容

【政策的議員提案条例】
 みちのく岩手観光立県基本条例
 平成21年3月30日条例第28号

 石川啄木が「おもひでの山 おもひでの川」とうたい望郷の念を抱き続け、宮沢賢治が「理想郷イーハトーヴ」として思いを重ねた故郷、みちのく岩手の地。本州一の広大な県土を誇るこの地には、雄大にして美しい自然が地域ごとに春夏秋冬それぞれ個性的な彩りを見せ、様々な歴史が積み重なり、平泉など、古くから伝わる文化が根付き、多くの人たちの心を和ませてくれるかけがえのない資産が数多くあります。
 私たちは、このようなみちのく岩手の自然、歴史、文化などを、ゆとり、やすらぎ、精神的豊かさ等の普遍的な価値につながるものとして認識を新たにし、また、地域の大切な資源として着目し、観光産業をはじめとする様々な産業に活用し、地域経済の発展につなげていかなければなりません。
 このため、県民と観光客との交流を通じて、本県の誇りとする自然、歴史、文化などを生かした観光振興の施策を展開し、おもてなしの心を基本とする受入れ態勢を充実して、情報発信や広域連携による誘客活動などに一層取り組むことが求められています。
 ここに、県、市町村、県民、観光に関係する団体および観光事業者が一丸となって、県民が将来にわたり豊かな生活を営むため、観光産業を農林水産業、製造業などに広く波及効果をもたらす総合産業として創り育てる観光立県の実現に向けて、この条例を制定します。

 (目的)
第1条 この条例は、観光立県を実現するための基本理念を定め、県の責務ならびに市町村、県民、観光に関係する団体および観光事業者の役割を明らかにするとともに、観光振興の基本となる事項を定めることにより、優れた観光地の形成のための施策の総合的な推進を図り、もって活力ある地域づくり、県民生活の向上に寄与することを目的とします。

(用語の意義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ各号に定めるとおりとします。
 (1)観光に関係する団体とは、観光振興その他の観光に関係する活動を行う法人その他の団体で県内に所在するもの(営利を目的にしないものに限ります。)をいいます。
 (2)観光事業者とは、営利を目的として観光に係る事業を営む者で県内に所在するものをいいます。

(基本理念)
第3条 本県の観光振興は、観光立県の実現を目指し、県、市町村、県民、観光に関係する団体および観光事業者の相互理解と協力のもと、次に掲げる事項に取り組むことにより、観光産業を、農林水産業、製造業などに広く波及効果をもたらす総合産業として創り育てていくことを基本理念とします。
 (1)地域の自然、歴史、文化、さらには地域固有の習わし、食、地場産品など、地域の特性や魅力を最大限活用し、観光客がゆとり、やすらぎと感動を覚え、再び訪れたいと思う魅力ある観光地づくりを進めること。
 (2)県民の地域を誇りとする気持ちや、おもてなしの心を育み、誰もが安心して快適に観光できる受入れ態勢の整備を進めること。
 (3)岩手の持つ素朴さを大事にして地域の特性や魅力などの情報を発信するとともに、広域的な連携の下に誘客活動を進めること。

(県の責務)
第4条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」といいます。)にのっとり、第9条に定める観光振興基本方針に基づき、観光振興の施策を推進するものとします。
2 県は、市町村、県民、観光に関係する団体および観光事業者がそれぞれの役割を果たせるよう、情報提供、助言その他の支援を行うものとします。
3 県は、市町村、県民、観光に関係する団体および観光事業者との緊密な連携に努めるとともに、観光振興の施策の総合的な推進を図るものとします。
4 県は、他県との積極的な連携により、広域的な観光振興の施策を推進するものとします。
5 県は、観光振興についての県民の意識の高揚と地域における観光振興の施策への県民の参画を促進するため、広報、啓発および情報の提供を行うものとします。

(市町村の役割)
第5条 市町村は、基本理念にのっとり、当該市町村の地域の特性に応じて、それぞれの立場において観光振興の施策を行うよう努めるものとします。

(県民の役割)
第6条 県民は、基本理念にのっとり、地域における観光振興のための取組に協力するよう努めるものとします。

(観光に関係する団体の役割)
第7条 観光に関係する団体は、基本理念にのっとり、県民、他の観光に関係する団体および観光事業者と連携を図りながら、活動を行うよう努めるものとします。
2 観光に関係する団体は、地域における観光振興のための取組に協力するよう努めるものとします。

(観光事業者の役割)
第8条 観光事業者は、基本理念にのっとり、観光客に快適なサービス、環境を提供するよう努めるものとします。
2 観光事業者は、地域における観光振興のための取組に協力するよう努めるものとします。

(観光振興基本方針)
第9条 県の観光振興に関する基本方針は、次のとおりとします。
 (1)地域の自然、農業、林業、漁業、地域固有の習わしなどを体験する観光に関する取組を促進すること。
 (2)地域の歴史、伝統、芸能、文学などに対する関心を満たすことを目的とする観光に関する取組を促進すること。
 (3)産業遺産、匠の技、先端技術などを通してものづくりの魅力を伝える産業観光に関する取組を促進すること。
 (4)地域に受け継がれた郷土料理、地場の食材の活用など、食文化の魅力を生かす観光に関する取組を促進すること。
 (5)豊かな自然に育まれた素材を生かした地場産品、卓越した技法を用いて作られた工芸品などを活用する観光に関する取組を促進すること。
 (6)観光客を第一に考えたサービスが提供されるよう、郷土の歴史、伝統、芸能、文学などを学び、おもてなしの心を育む研修を実施するなど、観光ボランティア、観光に従事する人材の育成を図ること。
 (7)観光客の誰もが快適にみちのく岩手の旅行を楽しめるよう、ひとにやさしい観光地としての受入れ態勢の整備を推進すること。
 (8)観光客が知りたい情報をいつでも得られるような環境の整備に努めるとともに、四季折々の景色、祭り、イベントなどを活用し、みちのく岩手のイメージアップに向けて、心に響く情報を効果的に発信すること。
 (9)感動を覚え、心に残る修学旅行、遠足、野外活動など、学校行事における魅力ある教育旅行を提案することを促進し、県外からの誘致などを推進すること。
 (10) 海外との文化、経済の交流、青少年の交流などを生かし、近隣国など海外からの観光客を誘致する国際観光の振興を図ること。

(基本計画)
第10条 県は、観光振興の施策を総合的かつ計画的に推進するため、観光振興に関する基本計画を定めるものとします。

(調査の実施等)
第11条 県は、観光に関する基礎的な調査を実施し、その結果を観光振興の施策に活用するものとします。
2 県は、毎年度、観光振興の施策について評価を行い、その結果を公表するとともに、翌年度以降の観光振興の施策の推進に当たって、適切にこれを活用するものとします。

(推進体制の整備等)
第12条 県は、観光振興の施策を推進するため、体制を整備するとともに、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとします。

(その他)
第13条 この条例に定めるもののほか、この条例の実施に関し必要な事項については、知事が定めます。

  附 則
 この条例は、平成21年7月1日から施行します。

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