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議員提出議案

詳細情報

件名

発議案第10号 「嫡出推定」に関する民法改正と救済対象の拡大を求める意見書

本会議議決結果

議決日:平成21年3月25日
議決結果:原案可決

内容

意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、法務大臣

 「嫡出推定」に関する民法改正と救済対象の拡大を求める意見書

 子どもの人権と福祉を最優先に、民法第772条の嫡出推定に関して戸籍が事実と異なる記載とならないよう特段の対策を講ずることを強く要望する。

理由
 「婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」という嫡出推定を規定した民法第772条第2項は、明治31年当時、父親の子への責任放棄をさせないため「早期の身分保障」「子の福祉」の観点から設けられたものである。しかしながら、施行より110年余りが経過し、規定の趣旨とその実態との間に乖離が生じ、出生の届出が行われず無戸籍となり、不利益を被っている子どもの存在が明らかになっている。
 これに対して、法務省は、平成19年5月、無戸籍児の救済のため、離婚後の妊娠が医師の証明書で確認できれば「現父の子」としての出生届を認める通達を出したが、家庭内暴力のため離婚手続きが遅れるなど離婚前の妊娠でも社会通念上やむを得ないと考えられるケースが存在し、通達による救済の対象となるのは、法務省の推定では1割に留まるといわれている。
 家族関係についての意識も変化し、離婚・再婚の増加など明治時代には予想もしなかった社会状況が生じ、また、親子関係が科学的に立証可能である今日においては、離婚前の妊娠を一律に「前夫を父親」とする法規定は、今や不合理なものとなっている。
 また、平成6年に日本が批准承認している「児童の権利に関する条約」の第7条では、「児童は出生後直ちに登録され、氏名を有し、国籍を持つ権利を保障される」としているが、これと異なる扱いとなっている。
 よって、国においては、子どもの人権と福祉を最優先に、民法第772条の嫡出推定に関して戸籍が事実と異なる記載とならないよう次の対策を講ずることを強く要望する。

1 民法第772条の嫡出推定に関する見直し、戸籍法や婚姻に関する法律など関係法律との整合性を図ること等も含め、現実に即した法改正を行うこと。
2 民法改正までの間、通達による救済の範囲を広げること。また、親子(父子)関係不存在・嫡出否認等の家事調停・審判の手続の簡略化等運用面のさらなる見直しを行うこと。

 上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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