発議案第15号 国直轄事業負担金の制度の見直しを求める意見書
議決日:平成21年7月6日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、農林水産大臣、国土交通大臣
国直轄事業負担金の制度の見直しを求める意見書
国直轄事業負担金制度を地方分権型社会にふさわしい内容となるよう廃止も含めて見直すよう強く要望する。
理由
国の直轄事業は、法律により事業範囲を定め、国自ら直接行う事業であり、全国的な見地から必要とされる広域的事業等であるが、その実施に当たっては、地方が国に直轄事業負担金を支出している。
この国直轄事業負担金の支出の際、地方公共団体と国の間において事前協議は必ずしも十分には行われず、事業費の内訳明細も示されないまま請求された額を地方が支払うという、地方分権の理念にそぐわない手続がとられている。
それゆえ、地方六団体をはじめとする地方の側や地方分権改革推進委員会、地方分権改革推進会議などにおいては、かねてから国直轄事業負担金の縮減・廃止や現行制度の早急な改善を求めており、国においても、「地方分権改革を推進するための地方税財政基盤の確立に関する決議」(平成21年3月27日参議院総務委員会)の例のように、「国の直轄事業については、国と地方の役割分担の明確化と国の役割の重点化の観点から、抜本的に見直すこと。また、直轄事業負担金については、役割分担の明確化等に応じ、廃止を含む見直しを行うこと」が提起されているところである。
このような中、5月末に示された負担金の明細においては、河川国道事務所等の庁舎改修費や職員の退職手当などまでが含まれていることが明らかになり、これを契機に、今後の国直轄事業負担金の在り方が、地方分権を推進する上での大きな課題として一層クローズアップされているところであるが、国直轄事業負担金の在り方については、地方の意見に真摯に耳を傾け、地方の自主性・裁量性を拡大し、分権型社会にふさわしい制度として構築することが必要である。
よって、国においては、国直轄事業の制度を地方分権型社会にふさわしい内容となるよう、次の事項について措置を講ずるよう強く要望する。
1 地方公共団体の予算編成等に支障を生じないよう、国は、負担金の基準や内訳明細について、早期に十分な説明や詳細の情報提供を徹底し、事業主体として地方公共団体への説明責任を果たすこと。また、負担金の対象とし得る経費の範囲について、明確な線引きを行うこと。
2 直轄事業の実施に当たっては、事前協議制度を導入するなど、地方公共団体の意見が十分反映できるよう現行制度を改善すること。
3 直轄事業の維持管理費に係る負担金については、本来、その管理水準を決定する管理者である国が負担すべきであり、建設費と比較して地方公共団体の負担の割合が高くなっているなど将来にわたり継続して地方財政にとって大きな負担となることから、早急に廃止すること。
4 直轄事業制度の根幹の見直しに向けて、国が責任を持つべき事業の縮減や地方に移譲すべき事業の拡大をはじめ、制度に関わる根幹的な問題について、十分に地方公共団体と協議すること。
また、地方が担うべき事業については権限と財源を一体的に移譲し、自らの判断で自主的、主体的に事業実施できるようにすること。
5 国と地方との役割と財政負担の在り方を一致させる観点から、社会資本整備に関する役割分担を明確にした上で、最終的には国直轄事業負担金制度を廃止することも視野に入れて、制度の見直しを図ること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。