発議案第3号 改正貸金業法の早期完全施行等を求める意見書
議決日:平成22年3月24日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、総務大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣、国家公安委員会委員長、内閣府特命担当大臣(金融)、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)
改正貸金業法の早期完全施行等を求める意見書
多重債務問題の早期解決のため、改正貸金業法の早期完全施行並びに地方消費者行政の充実、個人及び中小事業者に対するセーフティネット貸付の充実並びにヤミ金融の徹底的な摘発に係る施策を一層推進されるよう特段の措置を講じられたい。
理由
経済・生活苦による自殺者、自己破産者や多重債務者の増加など、深刻な多重債務問題を解決するため、2006年12月に改正貸金業法が成立し、出資法の上限金利の引き下げ、収入の3分の1を超える過剰貸し付け契約の禁止(総量規制)などを含む同法が完全施行される予定である。
改正貸金業法成立後、政府は多重債務者対策本部を設置し、同本部は多重債務相談窓口の拡充、セーフティネット貸付の充実、ヤミ金融の撲滅、金融経済教育を柱とする多重債務問題改善プログラムを策定した。そして、官民が連携して多重債務対策に取り組んできた結果、多重債務者が大幅に減少し、着実にその成果を上げつつある。
他方、一部において、消費者金融の成約率が低下しており、借りたい人が借りられなくなっていることや、特に昨今の経済危機や一部商工ローン業者の倒産などにより、資金調達が制限された中小企業者の倒産が増加していることなどを殊さら強調して、改正貸金業法の完全施行の延期や貸金業者に対する規制の緩和を求める声が出ている。
しかしながら、1990年代における山一證券、北海道拓殖銀行の破綻などに象徴されるいわゆるバブル崩壊後の経済危機の際は、貸金業者に対する不十分な規制の下に商工ローンや消費者金融が大幅に貸付を伸ばし、1998年には自殺者が3万人を超え、自己破産者も10万人を突破するなど多重債務問題が深刻化した。
改正貸金業法の完全施行の先延ばしや、金利規制などの貸金業者に対する規制を緩和することは、再び自殺者や自己破産者、多重債務者の増加を招きかねないものであり、断じて許されない。
今、多重債務問題や貧困対策のために必要とされる施策は、相談体制の拡充、セーフティネット貸付の充実及びヤミ金融の撲滅などである。
よって、国におかれては、地方消費者行政の充実及び多重債務問題が喫緊の課題であることも踏まえ、次の施策を講ずるよう強く要望する。
1 改正貸金業法を早期に完全施行すること。
2 自治体での多重債務相談体制の整備のため、相談員の人件費を含む予算を十分確保するなど相談窓口の充実を支援すること。
3 個人及び中小事業者向けのセーフティネット貸付をさらに充実させること。
4 ヤミ金融を徹底的に摘発すること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。