発議案第12号 介護保険制度の抜本的な見直しを求める意見書
議決日:平成22年12月8日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、厚生労働大臣
介護保険制度の抜本的な見直しを求める意見書
2012年に行われる介護保険制度改正において、財源確保の問題も含め抜本的に制度設計を見直すことを強く要望する。
理由
介護保険制度施行後10年が経過したが、介護の現場では深刻な問題が表面化している。特別養護老人ホームの入所待機者は42万人に上り、在宅介護においても家族の心身の負担は深刻になっており、介護うつも増加している。
介護保険を利用している要介護認定者とその家族、そして介護事業者及び介護従事者等、介護保険制度にかかわる多くの人々から、介護施設の確保、介護報酬や処遇の改善、家族介護の負担を軽減するサービスの拡充等を要望する切実な声が数多く上げられている。
15年後の2025年には65歳以上の高齢者人口がピークを迎えると予想されているが、今後ますます進展する超高齢化社会を見据え、心穏やかに安心して老後を暮らせる社会の実現を目指すには、介護施設の拡充や在宅介護の環境整備、利用者負担の抑制等、必要な見直しが求められている。
新規の財源確保は困難な状況にあり、高齢者から主に年金天引きで保険料を集めている市町村からも、大幅な負担増は難しいとの声が強い。このままでは、保険制度内での利用者負担増や、サービス給付削減という悪循環に陥ることが予想される。
また、厚生労働省の審議会が示した、単身・重度の要介護者も在宅で暮らせる「地域包括ケアシステム」構想も、財源の裏付けなしでは現実味に乏しい。税制と社会保障全体の抜本改革を視野に入れ、増大する利用者と介護費用に見合った財源を確保する道筋を示す必要がある。
こうした状況を踏まえ、2012年に行われる介護保険制度改正では、財源確保の問題も含めた抜本的な制度設計の見直しが必要である。
よって、国においては、介護保険制度の抜本的な改革を断行するために、下記の事項について早急に取り組むよう強く要望する。
1 2025年までに特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設、有料老人ホーム及び小規模多機能型居宅介護事業所などを増設し、「介護施設の待機者解消」を目指すこと。
2 在宅介護への支援を強化するために、24時間365日の訪問介護サービスの大幅な拡充を行うほか、家族介護における「レスパイト(休息)事業」についても大幅に拡充すること。
3 介護従事者の待遇改善につながる介護報酬の引上げを行うこと。
4 増大する利用者と介護費用に見合った財源を確保する道筋を示すこと。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。