発議案第6号 災害廃棄物の処理に対する総合的な支援を求める意見書
議決日:平成23年12月13日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、環境大臣、東日本大震災復興対策担当大臣
災害廃棄物の処理に対する総合的な支援を求める意見書
膨大な災害廃棄物処理を迅速かつ円滑に処理するための広域処理が強力に進められるよう、総合的な支援施策を講じることを強く要望する。
理由
3月の東日本大震災津波により本県では推計435万トンという大量の災害廃棄物が発生した。これは、本県の一般廃棄物発生量のおよそ10年分に相当し、この処理が、復旧に向けた喫緊の課題となっている。
本県の「災害廃棄物処理詳細計画」では、平成26年3月までに、435万トンのうち、県内で126万トンを処理するとともに、復興道路への利用等で252万トンを見込み、残りの57万トンについては県外での広域処理を行う予定としており、県内の民間の廃棄物処理施設やリサイクル施設、市町村のごみ焼却施設などにより全県を挙げて取り組んでいる。
災害廃棄物の処理は、震災からの復旧・復興を進めるための大前提となるものであるが、仮置場に置かれたままの廃棄物には、自然発火や悪臭等による環境悪化などの懸念もある。さらに、放射性物質や塩分除去への対応で、処理単価の増加が見込まれており、処理費用の増加や膨大な作業量が処理の進捗を妨げることにもなりかねない。
また、県外での広域処理について、当初、全国の572の市町村等から受入れに前向きの声が寄せられたものの、東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物質の汚染問題が拡大するにつれ、広域処理の受入先の確保が著しく困難となり、災害廃棄物の受入れは、東北地方以外では東京都の一都にとどまるなど計画の遅れに対する懸念が大きくなっている。
このように受入れが進まない大きな障害となっているのは、災害廃棄物の中には東京電力福島第一原子力発電所の事故により放射性物質に汚染されたものがあり、その安全性について多くの住民が不安を抱いていることにある。例えば、原子力発電所内で発生した廃棄物については、クリアランスレベル(放射性セシウムの場合100ベクレル/kg)を超えるものは放射性廃棄物として管理されている一方、原子力発電所以外で発生した廃棄物は8,000ベクレル/kgまでは通常の廃棄物として処分できるという矛盾した取扱いなどに対する安全への疑念がある。
よって、国においては、放射能に対する正しい理解の普及により住民の不安を払しょくするとともに、災害廃棄物の円滑な処理に向けた広域処理が強力に進められるよう、以下の措置を講ずることを強く要望する。
1 放射性物質で汚染された廃棄物の取扱いについて、所管官庁ごとに基準値が異なる体系を是正し、住民の理解と不安の解消に努めること。
2 国民の放射能に対する正しい理解が進むよう丁寧に説明するなど、適切な情報提供に努めること。
3 広域処理の受入先に関しては、被災自治体の努力だけでは限界があり、国において自治体間の調整を図るなど総合的な対策を講じること。
4 処理費用の増加によって処理計画に遅れが生じることのないよう、財政的な負担に関しては万全の措置を講じること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。