発議案第11号 野生鳥獣被害防止対策の充実を求める意見書
議決日:平成23年12月13日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、農林水産大臣、環境大臣
野生鳥獣被害防止対策の充実を求める意見書
全国的な野生鳥獣被害が深刻であることから、速やかに野生鳥獣被害防止対策の充実を図るよう強く要望する。
理由
近年、野生鳥獣による全国の農作物の被害は、深刻な状態にあり、その被害は経済的損失に止まらず、農家の生産意欲を著しく減退させ、ひいては農村地域社会の崩壊を招きかねないなど、大きな影響を及ぼしている。
野生鳥獣による全国の農作物被害額は、平成21年度において213億円で、前年度に比べて14億円増加している。鳥獣被害全体の7割がイノシシ、シカ、サルによるもので、その影響は農作物の被害に止まらず、山林の荒廃を招き、豪雨時の土砂流出被害にもつながっている、との指摘もある。
このような状況を踏まえ、国においては平成19年12月、議員立法(全会一致)により、「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」が成立し、これに基づき鳥獣被害防止総合対策交付金の交付や地方交付税の拡充、都道府県から市町村への捕獲許可の権限移譲など、各種支援の充実が図られた。
しかしながら、生息域の拡大を続ける野生鳥獣による被害防止を確実なものとするためには、ハード・ソフト両面による地域ぐるみの被害防止活動や地域リーダー、狩猟者の育成、被害農家へのより広範な支援などの対策の強化が不可欠である。
また、野生鳥獣の保護並びに被害防止対策のための適切な個体数管理の上からも、正確な生息数の把握は欠かせないが、その調査方法はいまだ十分なものとはいえず、早期の確立が望まれる。
よって、国においては、野生鳥獣被害防止の充実を図るため、以下の事項について速やかに実施されるよう強く要望する。
1 地方公共団体が実施する野生鳥獣被害防止施策に対する財政支援を充実すること。
2 現場では有害鳥獣対策についての専門家が不足していることから、専門的な知識や経験に立脚した人材の養成及び支援策を講じること。
3 有害鳥獣の正確な生息数の把握ができる調査方法を確立すること。
4 効果的な野生鳥獣被害防止対策を講じること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。