発議案第2号 消費税増税に慎重な対応を求める意見書
議決日:平成24年3月21日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣
消費税増税に慎重な対応を求める意見書
消費税の増税については、国内経済環境や震災からの復興状況を十分考慮するとともに国民的議論を尽くした上で、慎重な対応を行うよう強く要望する。
理由
昨年3月の東日本大震災津波から、1年が経過した。
甚大な被害を受けた本県においては、今年はまさに復興元年として、「いのちを守り、海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造」を理念とし、「安全」の確保、「暮らし」の再建、「なりわい」の再生、の三本の柱からなる復興基本計画を着実に進捗させるスタートの年となっている。
その実現のため、本県では今まで知事を先頭に復興構想会議等の場で、財源の確保や復興を迅速に進めるための制度設計などを国に強く求め、復興への歩みの環境づくりを行ってきた。
2月10日には復興庁が創設され、復興の財源の裏づけとなる復興債の発行と復興増税が実行されることとなり、新年度予算では膨大な復興計画の実現に向けて種々の施策を実行することになっている。
このような中、政府は2月17日に、社会保障・税一体改革大綱を閣議決定し、現在開会中の通常国会において消費税の増税法案を提出することを明言している。
少子高齢化を背景に、年金や医療、介護・子育てなどの社会保障予算が今後も確実に増えることが予想され、また国と地方を含めた借金が1,000兆円を超え、先進諸国においても日本の財政状況は極めて厳しい状況にある。
しかしながら、政府がまず進めていかなければならない「公務員給与改革」や「国会議員の定数削減」などの行政改革の道筋は未だ見えず、世論調査の動向を見ても、増税にむけた国民理解は進んでいるとはいえない状況にある。さらに、歴史的な円高水準が続いていることに加え、デフレの状況が改善されていない中での増税は、国民生活と経済活動に大きなマイナスの影響を与えかねない。また、大きな痛手を受け、これから何とか立ち上がろうとしている本県を含む被災地や被災者に対して、金銭的にも精神的にも大きな負担を課すものである。
よって、国においては、消費税の増税について、十分に国民的議論を尽くし、経済環境なども十分に考慮し、さらには震災からの復興の進捗状況を十分に見極めるなど、慎重な対応を行うよう強く要望する。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。