発議案第11号 東京電力福島第一原子力発電所事故の早期収束と同事故に係る損害賠償の早期完全実施の実現を求める意見書
議決日:平成24年3月21日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、文部科学大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、環境大臣、復興大臣
東京電力福島第一原子力発電所事故の早期収束と同事故に係る損害賠償の早期完全実施の実現を求める意見書
東京電力福島第一原子力発電所事故の早期収束と同事故に係る損害賠償が早期完全実施されるための対策を講じるよう強く要望する。
理由
東京電力福島第一原子力発電所事故(以下「今回の原発事故」という。)は発生から1年を経過したものの、未だ収束の見通しは立っておらず、同原子力発電所から半径20km圏内では、現在も一般市民の立入りが原則禁止されるなど、いまなお福島県民のみならず国民全体に大きく重苦しい不安を与えている。
また、今回の原発事故による損害額は、現時点で把握しているものだけでも、岩手県内では67億8千万円を超える規模となっており、既に47億8千万円余の賠償請求を行っている。
ところがこれまで支払いに応じられたものは、肥育牛などへの賠償に限られており、その金額は19億円にとどまっているのが実態である。
支払いが行われていないものの中には、乾しいたけの風評被害による被害などもあり、出荷自粛とあわせて生産者への打撃は大きくなっている。
生産者や岩手県民にとって、今回の原発事故による影響は予期できなかったものであり、まさに何の落ち度もない被害者にも関わらず、損害に対する早期の賠償の実現がなければ、再生産の放棄にもつながりかねない深刻な事態となっており、地域にとって大きな傷を深めることになりかねない。
東京電力による被害に対しての賠償の完全実施及び早期支給は最低限の責任であり、原子力行政を推し進めてきた国においても同様である。
よって、国においては、今回の原発事故に関する情報を全面的に開示し、国内外の専門家及び技術者の知恵と力の結集による事故の速やかな収束に向けて強力な支援を図るとともに、東京電力による賠償が早期に完全実施されるよう、以下の事項について対策を講じるよう強く要望する。
1 岩手県産の乾しいたけなどの食用林産物と畜産物について、東京電力が賠償に応じ、早期に完全実施されるとともに、再生産が軌道に乗るまでの補償を行うよう指導を行うこと。
2 国の責任において「原子力損害の判定等に関する中間指針」に岩手県産の乾しいたけを始めとする食用農林産物と畜産物を風評被害の対象品目として追加すること。
3 今回の原発事故に係るあらゆる損害賠償について、真摯に対応し早期に完全実施するよう東京電力に対し指導すること。
4 空間放射線量などの数値が高い地域において、現地に国の機関等を開設し相談に当たる体制を構築すること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。