発議案第14号 放射性物質汚染による食品の出荷制限・解除の区域の考え方の見直しに関する意見書
議決日:平成24年7月9日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、内閣府特命担当大臣(原子力行政)
放射性物質汚染による食品の出荷制限・解除の区域の考え方の見直しに関する意見書
原発被害に苦しむ岩手県内の生産者の一日も早い現状復帰と営農の安定を図るため、放射性物質汚染による食品の出荷制限・解除の区域の考え方を見直すよう強く要望する。
理由
今般の東日本大震災に伴う原子力発電所事故に起因する放射性物質の影響を受け、本県産の農林水産物から国の基準値を超える放射性セシウムが検出されて以降、風評被害による取引価格下落や取引不調に加え、国の出荷制限指示によって多大なる影響を受けている。
本県では、「県産食材等の安全確保方針」等に基づき、原木しいたけにおいては、発生時期ごとの全戸検査と併せて、生産物が基準値を超過したほだ木や国が示す指標値を超過するほだ木は処分する措置を講ずる等、個別品目における放射性物質濃度の検査を実施し、安全・安心な農林水産物の供給に努めているところである。
しかしながら、現在の国の示す「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」では、出荷制限の区域の設定条件が、県または市町村単位となっていることから、基準値を下回る生産者・地域であっても出荷することができず、生産をあきらめざるを得ない農家も出るなど、生産現場には大きな不安と混乱が生じており、危機的な状況に置かれている。
これまで、懸命の努力により、安全・安心な農林産物を消費者に供給してきた生産者こそ、その風評による被害も重なって、放射性物質により最も深刻な影響を受けている被害者である。生産者から見れば一方的で容赦なしと見える現在の出荷制限のあり方は、生産者視点に立ったものとはなっていない。
原発被害に苦しむ岩手県内の生産者の一日も早い現状復帰と営農の安定を図ることは国の責務である。
よって、国においては、以下の措置を講ずるよう強く要望する。
1 出荷制限・解除の区域の設定に当たっては、科学的根拠に基づいて旧市町村単位等での細分化した設定を認めるなど、地域の実態を踏まえた制度運用とすること。
2 農林産物の栽培環境、生育期間、出荷適期等、生産実態や地域事情を踏まえた解除条件を認めること。
3 風評被害を深刻に受け止め、生産・流通における生産者への支援を拡充すること。
4 生産者の経営継続のための財政的支援の充実を図ること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。