発議案第7号 公共工事の入札不調を解消する環境整備を求める意見書
議決日:平成25年12月9日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、国土交通大臣
公共工事の入札不調を解消する環境整備を求める意見書
公共工事の入札不調が増加していることから、この状況を解消するための環境整備に向けた措置を講ずることについて強く要望する。
理由
公共工事の入札が成立しない入札不調が全国的に増加しているが、東日本大震災の被災地の復興事業や景気回復に伴う建設工事の増加による工事を担う人材不足や資材の高騰が広がりつつあることが原因とみられている。
このような中、公共工事を担っている建設業就業者数は、国土交通省の公表資料によると、平成23年(推計値)は約497万人と、建設投資がピークとなった平成4年の約619万人から約20%減少しており、また、就業者のうち55歳以上が約33%、29歳以下が約12%と高齢化が進行している。
その背景としては、これまでの建設投資の大幅な減少により受注競争が激化し、ダンピング受注や下請業者へのしわ寄せ等で、現場で働く労働者の処遇が悪化するなどしたことが挙げられ、その結果、人材不足という深刻な影響が生じている。また、建設業は重労働の割に低賃金なため、中堅・若年層の離職が相次ぎ、就職後3年以内の離職率も製造業の2倍近くに上っている。
震災復興事業は加速させなければならず、また、首都直下地震や南海トラフ巨大地震に備え、老朽化が進む国内全域の公共インフラの防災・減災対策も喫緊の課題となっており、そのためにも、必要な公共工事の円滑な入札に向けた取組は急務といえる。
よって、国においては、入札不調を解消するための環境整備に係る措置を講ずるよう強く要望する。
1 地元に精通した施工力のある建設業者が各地域のインフラを安定的・継続的に維持・管理できるようにするため、地元貢献や技術力などの項目とともに、若年者らの確保・育成に取り組む建設業者への加点評価を行うなど、多様な入札契約方式を導入すること。
2 事業の発注者が元請業者に支払った代金が、下請業者や現場で働く職人へ着実に届く流れをつくるため、ダンピング対策を徹底すること。
3 従来から、全産業の賃金と比較して低水準となっている建設業における賃金支給額との格差是正措置を講ずるとともに、労働市場の実勢価格を公共工事設計労務単価に迅速かつ的確に反映させるため、引上げに伴う賃上げ状況の調査とフォローアップ、職人の人材確保と労働環境の改善に向けた社会保険の加入促進への取組を講ずること。
4 建設資材高騰への対策として、受発注者において複雑かつ多大な労力と時間を要する事務処理となっているスライド額算定事務の簡素化を図るための措置を講ずること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。