発議案第13号 特定秘密の保護に関する法律の拙速な成立に抗議し法律の抜本的な見直しを求める意見書
議決日:平成25年12月9日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、法務大臣、外務大臣、内閣官房長官、国家公安委員長、内閣府特命担当大臣(少子化対策担当)
特定秘密の保護に関する法律の拙速な成立に抗議し法律の抜本的な見直しを求める意見書
民主主義の根幹にかかわり人権を大きく制約しかねない、特定秘密の保護に関する法律が、拙速な国会審議により成立したことについて抗議するとともに、法律の抜本的な見直しを強く求める。
理由
去る12月6日、参議院本会議において特定秘密の保護に関する法律(以下「法律」という。)は、極めて拙速な国会審議により可決・成立した。
この法律では特定秘密に関して、防衛、外交、特定有害活動の防止、テロリズムの防止の4分野の中で、行政機関の長が指定することとしているが、その秘密の定義があいまいであり、歯止めなく拡大解釈されるおそれがある。また、国から独立し、秘密指定や運用などの妥当性のチェックを行う第三者機関の設置についても、12月4日の党首討論での首相答弁において「保全監視委員会」の設置が示されたが、あくまで政府内組織であり、いまだその客観性は担保されていない。
もとより、国が我が国の安全保障のため、秘密を指定する必要があることについては、これを全面的に否定するものではない。
しかしながら、国民の知る権利を守るためには、国民が求めた文書の公開範囲の拡大や、取材・報道の自由を保障する必要があるとともに、第三者機関において、秘密に関する明確な基準を策定し、その範囲を必要最小限にとどめ、適正な管理に努めることが欠かせない。このままでは、行政機関による恣意的な秘密指定や運用がされ、秘密の指定期間も恒久化される危険性も高い。
さらに、国会との関係においては、行政機関の長の判断で国会への情報提供が拒否された場合、国政調査権の機能が発揮されないばかりか、特定秘密として指定された事項については国会の秘密会開催が要件とされるなど、調査・審議における重大な制約となる。
よって、国においては、民主主義の根幹にかかわり、人権を大きく制約する危険性の高いこの法律が拙速な国会審議により成立したことは、極めて遺憾であることから抗議するとともに、この法律を抜本的に見直すよう強く要望する。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。