発議案第6号 雇用の安定を求める意見書
議決日:平成26年3月25日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、経済再生担当大臣、内閣府特命担当大臣(規制改革)
雇用の安定を求める意見書
安定した雇用環境を確保、拡充し、我が国の成長分野等での産業育成と雇用創出が図られるよう強く要望する。
理由
労働は、生活の糧を得るだけではなく、自己実現を図るための重要な手段であり、また、憲法においても勤労する権利についてうたわれているところである。一方で、雇用を安定させることは、国の重大な責務である。
昨年、政府が開催した産業競争力会議や規制改革会議において、雇用主に課せられている労働者の解雇規制の緩和など、雇用環境を不安定化させるようないくつかの議論がなされたところである。
具体的には、雇用主が、労働者に対して再就職支援金を支払えば解雇できるとする「解雇の金銭解決制度」の導入のほか、一定の職種に従事する労働者の労働時間の規制を適用除外する「ホワイトカラー・イグゼンプション」の導入、職務や勤務地を絞った「限定正社員」の制度化、労働者派遣法を改正して派遣受入期間を撤廃する「常用代替防止」の原則を変える大幅な緩和などであり、これまでの安定雇用が脅かされることが危惧される。
また、労働者に劣悪な労働環境のもとで勤務を強いて、若者等を使い捨てにする、いわゆる「ブラック企業」問題に象徴されるように、近年、労働者の雇用環境は悪化しており、これら過重労働の結果に起因する過労死も社会問題となっている。
よって、国においては、雇用の安定に向けて次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 「解雇の金銭解決制度」及び「ホワイトカラー・イグゼンプション」の導入、「限定正社員」に名を借りたみかけ正社員づくり、労働者派遣法改正による「常用代替防止」の原則の変更などの労働規制の緩和を行わず、労働者の立場に立った雇用の安定化を図るための措置を講ずること。
2 近年、問題化しているいわゆる「ブラック企業」への実効性のある対策を講ずるとともに、過労死防止対策などを総合的に推進すること。
3 若年者雇用対策として、教育機関における労働基本法など法律に関する知識の習得や職業教育、進路指導など就労支援の拡充を図ること。
4 環境・エネルギー、医療・介護などの成長分野のほか、地域資源を活用した産業の育成と雇用の安定・創出のための必要な措置を講ずること。
5 雇用・労働政策に係る議論は、ILOの三者構成主義にのっとって、労働者代表委員、使用者代表委員、公益代表委員で構成される労働政策審議会で行うこと。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。