発議案第10号 農協・農業委員会等の改革に慎重な対応を求める意見書
議決日:平成26年7月7日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、農林水産大臣、内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、内閣府特命担当大臣(規制改革)
農協・農業委員会等の改革に慎重な対応を求める意見書
農協・農業委員会等の改革に当たっては、農業者、農業団体や地域住民などの意見を広く聞き、慎重に検討、対応するとともに、地域農業・農村振興や食料供給など国民生活に十分な機能を果たすものとなるよう強く要望する。
理由
政府は、平成26年6月24日に農林水産業・地域の活力創造プランを改訂した。
この中で、農協改革においては、農協法上の中央会制度は自律的な新たな制度に移行することとしている。
都道府県農業協同組合中央会は、農業振興事業の推進や地域の農業団体の代表として調整機能を担い、監査と経営指導を一体的に行うなどJAの健全な発展に寄与してきた。また、全国農業協同組合中央会は、制度や事業に精通し、監査・経営指導、都道府県中央会を越える事案への対応や事業の共同化、JAブランドの維持向上、国への農業施策の提言や複雑な農業施策の実施などに大きな役割を果たしてきた。
中央会制度は、我が国の農業振興の中核であり、農政の転換や日豪EPAなどの輸入農産物への対応、食料自給率の向上、農業所得の向上や担い手の育成など、農家の声を国に伝えるため、今こそ強化が必要であり、プランの改訂は、農協・農業委員会等を著しく弱体化させるなど逆行するものである。
農業委員会については、委員公選制を廃止し、市町村議会の同意を要件とする市町村長の選任制度に変更すること、農地利用最適化推進委員(仮称)を新設することとしているが、農業委員会の権威と決定の実効性、公平性は、地域の農民が委員を直接選挙することにより生み出されているほか、農業者の意見を行政庁に対して建議や意見公表などを通じて政策に反映する重要な機能も有している。
さらに、全国農業会議所や都道府県農業会議については、農業委員会の業務をサポートする組織に見直すこととしているが、農業委員会を指導し、農業及び農民を代表する組織として農業や農民に関し意見を公表し、行政庁への建議や農業に関する情報提供を行うなどの重要な役割を担っており、こうした一方的な組織改編は農業者の意見を封じ、我が国の農業や地域農業、農村を弱体化させるものである。
2012年は国連が提唱する国際協同組合年、今年は国際家族農業年であり、我が国においても農業や地域振興のためには、相互に補い合い地域を支える協同組合の発展や多様な担い手の確保が必要である。
よって、国においては、農協・農業委員会等の改革に当たっては、農業者、農業
団体や地域住民などの意見を広く聞き、中央会、農業委員会、農業会議などの果たす役割を尊重し慎重に検討、対応するとともに、地域農業・農村振興や食料供給など国民生活に十分な機能を果たすものとなるよう強く要望する。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。