発議案第4号 介護報酬の見直し等を求める意見書
議決日:平成27年10月20日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣
介護報酬の見直し等を求める意見書
誰もが安心して利用できる介護保険制度の実現を基本にした介護報酬の見直し等を行うよう強く要望する。
理由
我が国の高齢化は年々進み、介護施策の重要性が叫ばれる中、全国的に介護施設の整備が進められているが、一方で介護従事者の離職が進み、人材不足によって介護事業に大きな支障が出るなどの問題が深刻化している。
このような状況下において、平成27年4月に実施された介護報酬の改定は、介護サービスの充実のプラス0.56%、処遇改善のプラス1.65%を除くと、マイナス4.48%の大幅なマイナス改定となった。
施設関係では介護老人福祉施設サービスの介護報酬で5%を超える引下げ幅となり、小規模型通所介護サービスの介護報酬では約10%、介護予防通所介護・介護予防通所リハビリテーションサービスの介護報酬に至っては20%を超えるマイナス改定となった。
社会保障の充実を理由に消費税率を8%に引き上げたにもかかわらず、今回のマイナス改定によるサービスの低下があってはならない。
国は今回の大幅引下げの理由として、賃金・物価の状況、介護事業者の経営状況等を踏まえて改定を行ったとしているが、全国で、地域によっては介護報酬の引下げにより介護サービスの低下を招くとの声が上がっている。本県では利用者確保も難しく訪問リハビリテーションなど幾つかのサービスが利用できない自治体もある。さらに、経営規模の小さい事業者が多く、今回の改定によって経営が悪化し、介護事業所の運営そのものが立ち行かなくなるとの声も聞かれている。
また、処遇改善加算は介護職員のみを対象にしているが、介護現場では看護職員、介護支援専門員、リハビリテーション専門職員、調理職員、事務職員など多様な職種が働いており、職場全体のバランスのとれた処遇改善には、介護報酬全体の引上げが必要である。
国が医療介護総合確保推進法により介護保険制度の運営を自治体に委ねようとする中で、住民の生命を守り、地域の介護システムを維持させるためには、介護事業所の維持と、確保が困難となっている介護労働者の大幅な処遇改善が不可欠である。
よって、国においては、誰もが安心して利用できる介護保険制度の実現のため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 介護事業所と介護労働者が充実したサービスを提供できるよう、介護報酬の見直し等に向けた検討を行うこと。
2 利用者のサービス利用に支障を来さないよう、必要な対策を講ずること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。