発議案第2号 台風第10号の大雨等による被害に対する支援を求める意見書
議決日:平成28年10月27日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、環境大臣、内閣官房長官、内閣府特命担当大臣(防災)
台風第10号の大雨等による被害に対する支援を求める意見書
今回の台風第10号による被災者の生活再建支援及び被災地の復旧が早期に図られるよう強く要望する。
理由
気象庁が統計を取り始めて以来、初めて東北地方の太平洋岸へ上陸した台風第10号が、去る8月30日に本県を通過したことに伴い、県内各地で記録的な大雨となり、河川の氾濫等によって、これまでに20名もの尊い人命が失われるとともに、いまだ3名の方が行方不明となっている。また、床上浸水等による住家被害、道路、河川等の公共土木施設や水道などのライフライン、農地、農林水産施設、商店、観光施設など、県内全域に甚大な被害がもたらされた。
県民生活はもとより、地域経済が大きな打撃をこうむったところであり、こうした状況の下、今なお、多数の方々が避難生活を余儀なくされており、住民が受ける影響と不安は、はかり知れないものとなっている。
本県では、平成23年3月に東日本大震災津波が発生し、いまだ復興道半ばである中で、今回の台風第10号による被害額は、風水害の被害では戦後最大の規模となったところであり、また、平成25年にも記録的な大雨により各地で甚大な被害が発生するなど、度重なる自然災害により県民生活や県内経済は非常に大きな影響を受けている。
よって、国においては、今回の台風第10号による被災者の生活再建支援及び被災地の復旧が早期に図られるよう、次の事項について強く要望する。
1 当面の災害応急対策等の実施のため、被災者に寄り添った支援が行われるよう、災害救助法における救助対象や基準等の柔軟かつ弾力的な運用を行うとともに、災害対策に係る特別な財政需要に対応できるよう、特別交付税による措置や、弾力的で使途の自由度の高い取り崩し型基金等の創設を支援するなど、特段の財政措置を講じること。
また、地域によっては、東日本大震災津波時よりも被災家屋が多いことから、災害廃棄物等の処理費用に対して、東日本大震災津波の際と同様に、特段の財政措置を講じること。
2 災害査定や災害復旧事業の早期着手を行うこと。
また、今回の災害は被害が甚大かつ広範囲に及ぶことや、東日本大震災津波からの復興途上にある特殊事情に配慮し、机上査定で行う要件を緩和するなど、制度の柔軟な運用や事務手続きの簡素化を図るとともに、災害査定に要する測量や調査、設計等の費用について地方負担の軽減を図るため、特段の財政措置を講じること。
さらに、東日本大震災津波に係る復興事業で整備された施設等で、被害を受けたものについては、震災からの復興に遅れが生じないよう、特段の財政措置を講じること。
3 今回被災した地域では、東日本大震災津波からの復興事業が大詰めを迎えている中、今回の災害からの復旧復興事業への早急な対応が必要となるなど、自治体の負担が過重となるため、これらの業務を担う専門的知識を有する人材の確保について、特段の支援を行うこと。
4 農地や牧草地の流失や土砂流入、用水路等の農業施設や生乳加工施設等の共同利用施設の甚大な被害について、早期復旧に向けた支援を行うとともに、農業共済の対象外となっている農作物の被害補助や、畜産農家における収穫した牧草の流失や飼料用トウモロコシの倒伏等の被害により生じた代替飼料の購入に要する経費について財政措置を講じるなど、農業経営の再開に向け、特段の支援を行うこと。
5 林道の路肩や法面の崩壊、路面の流失、山地の崩壊等の甚大な被害について、早期復旧に向けた支援を行うとともに、林道災害復旧の対象外となる被災箇所の復旧に要する経費について財政措置を拡充するなど、林業活動の再開に向け、特段の支援を行うこと。
6 防波堤等の漁港施設や定置網等の漁業設備等の甚大な被害について、早期復旧に向けた支援を行うとともに、災害関連緊急大規模漂着流木等処理対策事業の補助対象拡大及び補助率の嵩上げ等の見直しを早急に行うこと。
また、東日本大震災津波の被害から復旧を果たしたサケ・マスふ化場が、今回再び被災し、軌道に乗りかけていた本県のサケ増殖事業に深刻な影響が出ているため、施設設備の早期復旧について財政措置を講じるなど、漁業活動の再開に向け、特段の支援を行うこと。
7 急激な河川の増水により、各所で主要な道路が寸断され、地域の安全や経済に多大な影響を与えたことから、堤防の整備や河道掘削など、河川や道路等について災害に強い公共土木施設の整備・復旧を行うとともに、河川河道内、橋りょう及び水門付近において堆積している流木の撤去等に対し、特段の支援を行うこと。
また、日常の連絡手段でもあり、被災者支援情報など被災者の生活を支えている情報通信基盤等にも大きな被害が生じたことから、条件不利地域において市町村が整備した光ファイバー等の情報通信基盤や共聴組合が保有するテレビ共同受信施設の早期復旧を行うため、特段の支援を行うこと。
8 被災者に寄り添った支援が行われるよう、被災者生活再建支援制度の支援対象拡大などの見直しや被害認定等において柔軟な運用を行うこと。
また、被災地では住民の生活に直結する生活道路や生活橋も多数被害を受けており、これらも含め、従来、公共土木災害復旧の対象外となる被災箇所の復旧について、特段の支援を行うこと。
さらに、家屋が被災した住民には市町村税の減免が行われるが、災害からの復旧復興の中で、市町村の財政事情はさらに厳しさを増すことになるため、減免に伴う減収分について、特段の財政措置を講じること。
9 医療機関や社会福祉施設等の早期復旧に対し、特段の支援を行うこと。
また、国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険及び障害福祉サービス等における被保険者の一部負担金や利用者負担金並びに、保育料等に対する免除措置について、特段の財政措置を講じること。
10 被災事業者や中心商店街等の施設設備、宿泊施設や観光施設の早期復旧のため、低利の融資、利子補給はもとより、今回の災害に対応したグループ補助金の実施など、事業の早期復旧再開に向けた補助制度の創設等について、特段の支援を行うこと。
また、東日本大震災津波の被災事業者は、二重ローンの負担に苦しんでいる中で、今回の被災により、さらなる事業資金調達の必要が生じているため、事業の再開や経営の安定に向け、特段の支援を行うこと。
11 被災した学校施設、文化財等の早期復旧を行うため、特段の支援を行うこと。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。