発議案第12号 食料・農業・農村基本計画見直しに関する意見書
議決日:平成16年12月15日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、農林水産大臣
食料・農業・農村基本計画見直しに関する意見書
食料・農業・農村基本計画見直しに当たっては、食料・農業・農村基本法に基づき、食料自給率の引上げ、食料の安全・安定供給に結びつく施策を展開するよう特段の措置を講じられたい。
理由
来年3月に策定される新たな食料・農業・農村基本計画は、今後の日本の食料・農業政策を大きく左右するものである。先に出された中間論点整理においては、担い手政策のあり方、品目横断的政策等の経営安定対策の確立、農地制度のあり方、農業資源・環境保全対策の確立が打ち出されたが、最大の課題である食料自給率の向上に向けての施策については先送りされ、また、出されている課題が食料自給率の向上にどのように結びつくのか明確に示されていない。
これまでの規模拡大・効率化一辺倒の農業政策を進めてきた結果がBSEなどの食の不安を引き起こしている現状から、食の安全や環境問題などに配慮した政策への転換が必要である。
よって、国においては、食料・農業・農村基本計画見直しに当たっては、食料・農業・農村基本法に基づき、食料自給率の引上げ、食料の安全・安定供給などを実現すべく、次の事項について措置されるよう強く要望する。
1 食料自給率について
食料自給率の維持・向上に必要な耕地を確保し、農地保全と環境政策を一体のものとして政策を推進すること。
2 担い手のあり方について
(1) 担い手については、認定農業者や集落営農といった経営形態に限定せず、家族農業等を含めた多様な経営形態を政策の対象とし支援すること。
(2) 集落営農は、農業を営むことが継続できることを基本とし、地域の条件に見合った多様な農業の展開を可能とするものとして位置づけること。
3 新たな経営安定対策(品目横断的政策等)について
(1) 新たな経営安定対策(品目横断的政策等)は、水田作、畑作、畜産等の総合的な所得補てん政策とすること。
(2) 輸入農産物の増加や国内市場の価格低迷下においても営農が成り立ち、耕作意欲を保持できる支払い水準を確保すること。
4 農地制度について
(1) 土地、農地等土地利用規制の体系を整備し、農地を農地として利活用できる法、制度を早急に確立すること。
(2) 株式会社の農地取得・農業参入については、構造改革特区に限定し、地域農業への効果、影響等の検証・評価結果を十分踏まえて対応すること。
5 農業環境、資源保全政策の確立について
(1) 担い手以外の農家、非農家、地域住民等を含めた農業資源保全の共同の取り組みに対する支援策を、経営所得安定対策とセットで導入すること。
(2) 農業の持つ多面的機能を維持、推進するために、環境直接支払い制度を創設し、有機農業など環境保全型農業の推進をこれまで以上に支援すること。
(3) 現行の中山間直接支払制度は、拡大、充実して継続実施すること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。