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発議案第1号 動物の愛護及び管理に関する条例

本会議議決結果

議決日:平成17年3月24日
議決結果:原案可決

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内容

【政策的議員提案条例】
 動物の愛護及び管理に関する条例

 目次
 第1章 総則(第1条−第6条)
 第2章 動物愛護精神の高揚等(第7条)
 第3章 動物の適正な飼養等(第8条−第11条)
 第4章 動物取扱業の規制(第12条−第29条)
 第5章 危険動物の飼養に関する措置(第30条−第42条)
 第6章 犬による危害の防止(第43条−第46条)
 第7章 動物の引取り、収容等(第47条−第50条)
 第8章 雑則(第51条−第55条)
 第9章 罰則(第56条−第60条)
 附則

 第1章 総則

 (目的)
第1条 この条例は、動物の愛護及び管理に関する県、県民及び飼い主の責務を明らかにするとともに、動物の愛護及び管理に関し必要な事項を定めることにより、県民の動物愛護精神の高揚並びに動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに動物の取扱いにより人に迷惑を及ぼすことの防止を図り、もって人と動物が共生する社会づくりに資することを目的とする。

 (定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 (1) 動物 人が飼養(保管を含む。以下同じ。)をする動物で、ほ乳類、鳥類及びは虫類に属するものをいう。
 (2) 飼い主 動物の所有者(所有者以外の者が飼養をする場合は、その者)をいう。
 (3) 危険動物 動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号。以下「法」という。)第16条の政令で定める動物をいう。
 (4) 飼い犬 飼い主のある犬をいう。
 (5) 係留 飼い犬を丈夫な鎖、綱若しくはひもでつなぎ、又はおり、さくその他の囲いに入れて飼養をすることをいう。
 (6) 動物取扱業 動物(畜産農業に係るもの及び試験研究用又は生物学的製剤の製造の用に供するために飼養をしているものを除く。)の販売、保管、貸出し、訓練、展示又は美容を業として行うことをいう。

 (県の責務)
第3条 県は、動物の愛護及び管理に関する総合的な施策を策定し、及びこれを実施するとともに、県民による動物の愛護及び管理に関する活動を支援するものとする。

 (県民の責務)
第4条 県民は、動物の愛護に努めるとともに、県が実施する動物の愛護及び管理に関する施策に協力するよう努めなければならない。

 (飼い主の責務)
第5条 飼い主は、命あるものである動物の飼い主としての責任を十分に自覚して、その動物の適正な飼養をすることにより、動物の健康及び安全を保持するとともに、動物が人の生命、身体又は財産に害を加え、又は人に迷惑を及ぼすことのないよう努めなければならない。
2 動物の所有者(第17条第1項に規定する登録業者を除く。以下この条において同じ。)は、終生にわたり動物の飼養をするよう努めなければならない。
3 動物の所有者は、終生にわたり動物の飼養をすることが困難となった場合には、新たな飼い主を見つけるよう努めなければならない。
4 動物の所有者は、動物がみだりに繁殖してこれに適正な飼養を受ける機会を与えることが困難となるようなおそれがあると認める場合には、その繁殖を防止するため、生殖を不能にする手術その他の措置を講ずるよう努めなければならない。

 (市町村等への協力要請)
第6条 県は、市町村並びに動物の愛護及び適正な飼養について普及啓発を行っている団体に対し、この条例の実施に関し必要な協力を求めるものとする。

 第2章 動物愛護精神の高揚等

第7条 県は、県民の参加による人と動物が共生する社会づくりを推進するため、県民の動物愛護精神の高揚及び動物の適正な飼養に関する知識の普及に努めるとともに、県民、飼い主、市町村等に対し、動物の愛護及び管理に関する必要な情報の提供、技術的な助言その他の支援を行うものとする。
2 県は、子どもが、動物の適正な飼養を通じて、動物の生命を尊び、及び慈しむ心を養うため、動物の飼養をしている学校等に対し、当該動物の飼養が動物の適正な飼養に関する十分な知識及び経験を有する者の指導又は助言の下に行われるよう、必要な情報の提供、技術的な助言その他の支援を行うものとする。
3 県は、動物を介して人に伝染する疾病に関する調査研究、知識の普及その他必要な施策を実施するものとする。

 第3章 動物の適正な飼養等

 (飼い主の遵守事項)
第8条 飼い主(第17条第1項に規定する登録業者を除く。以下この条及び第10条において同じ。)は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
 (1) 飼い主の氏名及び連絡先を記載し、又は記録した首輪又はマイクロチップのその飼養をする動物への装着等、当該動物の飼い主であることを明らかにするための措置を講ずること。
 (2) その飼養をする動物の種類、発育状況等に応じ、適正にえさ及び水を与えること。
 (3) その飼養をする動物の種類、習性等に応じた動物の飼養をするための施設(以下「飼養施設」という。)を設け、これを適正に維持し、及び管理すること。
 (4) 飼養施設の内外を常に清潔にし、悪臭及び害虫の発生を防止すること。
 (5) その飼養をする動物が道路、公園その他の公共の場所及び他人の土地内をふん尿その他の汚物により汚染しないようにすること。
 (6) その飼養をする動物は、適正な管理が可能な数を超えないこと。
 (7) 動物と人との間で感染する疾病及び動物相互間で感染する疾病に関する正しい知識を習得し、並びにその飼養をする動物の疾病及び負傷を予防すること。
 (8) その飼養をする動物が逸走した場合には、自らの責任において、速やかに捜索し、及び捕獲等をすること。
 (9) 地震、火災等による緊急事態が発生した場合には、速やかにその飼養をする動物を保護すること。
 (10) その飼養をする動物がほ乳類に属し、かつ、離乳前である場合には、当該動物を譲渡しないこと。

 (犬の飼い主の遵守事項)
第9条 犬の飼い主は、前条各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
 (1) 次のいずれかに該当する場合のほか、人の生命、身体又は財産に危害を及ぼさないように飼い犬の係留をしておくこと。
  ア 警察犬、狩猟犬、盲導犬その他の人が使役する犬をその目的のために使用するとき。
  イ 人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれのない場所又は方法で飼い犬を訓練し、移動し、又は運動させるとき。
  ウ 展覧会、競技会、サーカス等の催しに飼い犬を供するために使用するとき。
  エ その他知事が特別の事情により係留の必要がないと認めたとき。
 (2) 門柱その他他人の見やすい場所に犬の飼養をしている旨を表示しておくこと。

 (ねこの飼い主の遵守事項)
第10条 ねこの飼い主は、第8条各号に掲げる事項のほか、その飼養をするねこの健康及び安全を保持するため、屋内で当該ねこの飼養をするよう努めなければならない。
 2 ねこの飼い主は、前項の規定にかかわらず、屋外で行動できるような方法でねこの飼養をする場合にあっては、ねこがみだりに繁殖することを防止するため、生殖を不能にする手術その他の措置を講ずるよう努めなければならない。

 (勧告)
第11条 知事は、飼い主が第8条又は第9条の規定に違反していると認めるときは、当該飼い主に対し、その飼養をする動物の健康及び安全を保持し、又は当該動物が人に迷惑を及ぼすことを防止するために必要な措置を講ずるよう勧告することができる。

 第4章 動物取扱業の規制

 (動物取扱業者についての特別の規制措置)
第12条 県内において飼養施設を設置して動物取扱業を営む者(動物取扱業を営もうとする者を含む。)については、法第14条の規定に基づき、法第2章第2節に規定する措置に代えて、この章に規定する規制措置を適用するものとする。

 (動物取扱業の登録)
第13条 飼養施設を設置して動物取扱業を営もうとする者は、飼養施設を設置する事業所ごとに、知事の登録を受けなければならない。

 (登録の申請)
第14条 前条の登録を受けようとする者(次条第2項及び第16条において「申請者」という。)は、次に掲げる事項を記載した申請書を知事に提出しなければならない。
 (1) 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
 (2) 飼養施設を設置する事業所の名称及び所在地
 (3) 動物取扱業の種別(販売、保管、貸出し、訓練、展示又は美容の別をいう。)
 (4) 主として取り扱う動物の種類及びその種類ごとの数
 (5) 飼養施設の構造及び規模
 (6) 飼養施設の管理の方法
 (7) 第26条第2項に規定する動物取扱責任者の氏名
 (8) その他規則で定める事項
2 前項の申請書には、飼養施設の配置図及び付近の見取図その他の規則で定める書類を添付しなければならない。

 (登録の実施等)
第15条 知事は、前条第1項の規定による申請書の提出があったときは、次条第1項の規定により登録を拒否する場合を除くほか、遅滞なく、前条第1項各号に掲げる事項、登録の年月日及び登録番号を動物取扱業登録簿に登録しなければならない。
2 知事は、前項の規定による登録をしたときは、前条第1項第1号から第3号まで及び第7号に掲げる事項、登録の年月日並びに登録番号を記載した動物取扱業登録証を当該申請者に交付しなければならない。

 (登録の拒否)
第16条 知事は、申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は申請書若しくはその添付書類の重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
 (1) 法若しくは法に基づく処分又はこの条例若しくはこの条例に基づく処分に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者
 (2) 第29条第1項の規定に基づき登録を取り消され、その取消しの日から起算して2年を経過しない者
 (3) 法人でその役員のうちに前2号のいずれかに該当する者があるもの
2 知事は、前項の規定により登録を拒否したときは、その理由を示して、直ちに、その旨を申請者に通知しなければならない。

 (登録の変更の申請等)
第17条 第13条の登録を受けて動物取扱業を営む者(以下「登録業者」という。)は、第14条第1項第3号から第6号までに掲げる事項を変更しようとするときは、登録の変更を受けなければならない。ただし、規則で定める軽微な変更については、この限りでない。
 2 前項の登録の変更を受けようとする登録業者は、変更しようとする事項その他規則で定める事項を記載した申請書を知事に提出しなければならない。
 3 前項の申請書には、規則で定める書類を添付しなければならない。

 (登録の変更の実施等)
第18条 知事は、前条第2項の規定による申請書の提出があったときは、次項において準用する第16条第1項の規定により登録を拒否する場合を除くほか、遅滞なく、当該申請に係る事項及び登録の変更の年月日を動物取扱業登録簿に登録しなければならない。
2 第16条の規定は、前条第2項の規定による申請書の提出があった場合について準用する。

 (登録の変更の届出)
第19条 登録業者は、第14条第1項第1号、第2号、第7号又は第8号に掲げる事項(同項第2号に掲げる事項にあっては、飼養施設を設置する事業所の名称に限る。)に変更があったときは、遅滞なく、その旨を知事に届け出なければならない。
2 知事は、前項の規定による届出があったときは、遅滞なく、当該届出に係る事項及び届出の年月日を動物取扱業登録簿に登録しなければならない。

 (変更に係る動物取扱業登録証の交付)
第20条 知事は、第18条第1項又は前条第2項の規定による登録をしたとき(第15条第2項に規定する事項について登録をしたときに限る。)は、当該事項、登録の変更の年月日又は届出の年月日及び登録番号を記載した動物取扱業登録証を当該登録業者に交付しなければならない。

 (承継)
第21条 登録業者について相続又は合併があったときは、相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人は、当該登録業者の地位を承継する。
2 前項の規定により登録業者の地位を承継した者は、遅滞なく、その旨を知事に届け出なければならない。

 (飼養施設の使用の廃止の届出等)
第22条 登録業者は、当該登録に係る飼養施設の使用を廃止したときは、遅滞なく、その旨を知事に届け出るとともに、動物取扱業登録証を返納しなければならない。

 (動物取扱業登録証の再交付)
第23条 登録業者は、動物取扱業登録証をき損し、汚損し、又は亡失したときは、動物取扱業登録証の再交付を受けなければならない。

 (動物取扱業登録証の返納)
第24条 登録業者は、第20条の規定により動物取扱業登録証の交付を受けたとき、又は前条の規定により動物取扱業登録証の再交付を受けたとき(動物取扱業登録証を亡失したことにより再交付を受けた場合にあっては、当該再交付を受けた後に当該亡失した動物取扱業登録証を発見したときに限る。)は、速やかに、既に交付を受けた動物取扱業登録証を知事に返納しなければならない。

 (登録の抹消)
第25条 知事は、第22条の規定による届出があったとき(登録に係る飼養施設の使用を廃止した事実が判明したときを含む。)、又は第29条第1項の規定に基づき登録を取り消したときは、動物取扱業登録簿につき、当該登録業者の登録を抹消しなければならない。
2 知事は、前項の規定による登録の抹消(第29条第1項の規定に基づく登録の取消しに係るものを除く。)をしたときは、その理由を示して、直ちに、その旨を第22条の届出をした者又は当該登録業者であった者に通知しなければならない。

 (登録業者の遵守事項)
第26条 登録業者は、法第11条第1項に規定する基準及び次に掲げる事項を遵守しなければならない。
 (1) その取り扱う動物が道路、公園その他の公共の場所及び他人の土地、建物等をき損し、又は汚損しないようにすること。
 (2) その取り扱う動物の異常な鳴き声、体臭等により、他人に迷惑を及ぼさないようにすること。
 (3) 美容を行う者にあっては、顧客の動物を個々に収容するための設備を備えるとともに、収容する動物を搬出する都度当該設備の清掃及び消毒を行うこと。
2 登録業者は、飼養施設を設置する事業所ごとに、専任の動物取扱責任者を置かなければならない。
3 前項の動物取扱責任者は、動物の適正な飼養に関し必要な知識を習得させることを目的として知事が別に定めるところにより実施する講習を修了した者その他規則で定める者をもって充てなければならない。

 (動物取扱業登録証の掲示)
第27条 登録業者は、当該登録に係る事業所の見やすい場所に動物取扱業登録証を掲示しなければならない。

 (勧告及び措置命令)
第28条 知事は、登録業者が第26条の規定に違反していると認めるときは、期限を定めて、飼養施設の構造、その取り扱う動物の管理の方法等を改善し、又は専任の動物取扱責任者を設置すべきことを勧告することができる。
2 知事は、前項の規定に基づく勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、期限を定めて、その勧告に係る措置を講ずべきことを命ずることができる。

 (登録の取消し等)
第29条 知事は、登録業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消すことができる。
 (1) 偽りその他不正の手段により、第13条の登録又は第17条の登録の変更を受けたとき。
 (2) 法若しくは法に基づく処分又はこの条例若しくはこの条例に基づく処分に違反したとき。
 (3) 第16条第1項第1号又は第3号のいずれかに該当するに至ったとき。
2 知事は、前項の規定に基づき登録を取り消したときは、その理由を示して、直ちに、その旨を当該登録を取り消された者に通知しなければならない。
3 第1項の規定に基づき登録を取り消された者は、前項の通知を受けた日から起算して10日以内に、動物取扱業登録証を知事に返納しなければならない。

 第5章 危険動物の飼養に関する措置

 (飼養の許可)
第30条 危険動物の飼養をしようとする者は、あらかじめ、危険動物の種類及び飼養施設ごとに知事の許可を受けなければならない。ただし、危険動物の飼養が次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
 (1) 国又は地方公共団体がその設置する施設において飼養をするとき。
 (2) 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する大学又は知事が適当と認める試験研究機関において教育又は学術研究のために飼養をするとき。
 (3) 獣医師が獣医療法(平成4年法律第46号)第2条第2項に規定する診療施設において診療のために飼養をするとき。
 (4) 危険動物を輸送する者が県内における滞在期間が2日間を超えない範囲内でその輸送用の施設において飼養をするとき。
 (5) 前各号に掲げるもののほか、規則で定める事由に該当するとき。

 (許可の申請)
第31条 前条の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を知事に提出しなければならない。
 (1) 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
 (2) 危険動物の飼養の目的
 (3) 危険動物の種類
 (4) 危険動物の数
 (5) 飼養施設の所在地
 (6) 飼養施設の構造及び規模
 (7) 主として危険動物の飼養の作業に従事する者の氏名及び住所
 (8) その他規則で定める事項
2 前項の申請書には、飼養施設の配置図及び付近の見取図その他の規則で定める書類を添付しなければならない。

 (許可の基準等)
第32条 知事は、第30条の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同条の許可をしてはならない。
 (1) 適正に危険動物の飼養をするための飼養施設で規則で定める基準(以下「施設基準」という。)に適合するものを有すること。
 (2) 申請をした者及び危険動物の飼養の作業に従事する者が次のいずれにも該当しないこと。
  ア 満18歳に満たない者
  イ 法若しくは法に基づく処分又はこの条例若しくはこの条例に基づく処分に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者
  ウ 第39条の規定に基づき許可を取り消され、その取消しの日から起算して2年を経過しない者
2 知事は、第30条の許可に有効期間その他の必要な条件を付することができる。

 (変更の許可)
第33条 第30条の許可を受けた者(以下「許可飼養者」という。)は、当該許可に係る第31条第1項第4号又は第6号に掲げる事項を変更しようとするときは、知事の許可を受けなければならない。ただし、危険動物の数の減少その他規則で定める軽微な変更については、この限りでない。
2 前項の許可を受けようとする許可飼養者は、変更しようとする事項その他規則で定める事項を記載した申請書を知事に提出しなければならない。
3 前条の規定は第1項の許可について、第31条第2項の規定は前項の申請書について準用する。

 (変更の届出等)
第34条 許可飼養者は、当該許可に係る第31条第1項第1号、第2号、第5号、第7号若しくは第8号に掲げる事項に変更があったとき、又は前条第1項ただし書に規定する変更があったときは、遅滞なく、その旨を知事に届け出なければならない。
2 許可飼養者は、当該許可に係る危険動物の飼養を廃止したとき、又は危険動物の飼養を休止し、若しくは休止した危険動物の飼養を再開したときは、遅滞なく、その旨を知事に届け出なければならない。

 (飼養施設内飼養)
第35条 許可飼養者は、当該許可に係る危険動物を飼養施設の外に出してはならない。ただし、疾病又は負傷の治療のために一時的に当該飼養施設の外に出す場合その他規則で定める場合において、人の生命、身体又は財産に対する侵害の防止のために必要な措置を講じたときは、この限りでない。

 (許可飼養者の遵守事項)
第36条 許可飼養者は、当該許可に係る危険動物について、第8条各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
 (1) 当該許可に係る飼養施設を施設基準に適合させるよう維持し、及び管理すること。
 (2) 飼養施設の施錠の確認その他逸走の防止のために必要な措置を講ずること。
 (3) 逸走した場合及び地震、火災等による緊急事態の発生により避難する場合の措置をあらかじめ定めておくこと。
 (4) 逸走した場合に捕獲するための機材を常備し、常に使用可能な状態で整備しておくこと。

 (標識の掲示)
第37条 許可飼養者は、規則で定めるところにより、当該許可に係る飼養施設の見やすい場所に、危険動物の飼養をしている旨の標識を掲示しなければならない。

 (措置命令)
第38条 知事は、第30条の許可に係る飼養施設(第33条第1項の許可を受けた場合には、当該許可に係る飼養施設)が施設基準に適合していないと認めるときは、当該許可飼養者に対し、期限を定めて、当該飼養施設を施設基準に適合させるために必要な措置を構ずべきことを命ずることができる。
2 知事は、危険動物が人の生命、身体又は財産に危害を及ぼしたとき、又は危害を及ぼすおそれがあると認めるときは、当該危険動物の飼い主に対し、期限を定めて、必要な限度において次に掲げる措置を講ずべきことを命ずることができる。
 (1) 飼養施設を設置し、又は改善すること。
 (2) 飼養施設内で危険動物の飼養をすること。
 (3) 危険動物に口輪等を装着すること。
 (4) 前3号に掲げるもののほか、危険動物による人の生命、身体又は財産に対する危害を防止するために必要な措置

 (許可の取消し)
第39条 知事は、許可飼養者が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消すことができる。
 (1) 偽りその他不正の手段により第30条又は第33条第1項の規定による許可を受けたとき。
 (2) 第32条第2項(第33条第3項において準用する場合を含む。)の規定に基づき当該許可に付した条件に違反したとき。
 (3) 第33条第1項の規定に違反したとき。
 (4) 第35条の規定に違反したとき。
 (5) 前条第1項又は第2項の規定に基づく命令に違反したとき。
 (6) 第41条第1項の規定に違反したとき。
 (7) 第42条の規定に違反したとき。

 (飼養の届出)
第40条 危険動物の飼養(第30条各号(第3号を除く。)のいずれかに該当するものに限る。)をしようとする者は、あらかじめ、その旨を知事に届け出なければならない。届け出た事項に変更があるときも、同様とする。

 (緊急時の措置)
第41条 危険動物の飼い主は、その飼養をする危険動物が逸走したときは、直ちに、知事及び警察官に通報するとともに、付近の住民に周知させ、当該危険動物を捕獲する等、人の生命、身体又は財産に対する侵害を防止するために必要な措置を講じなければならない。
 2 知事は、前項の通報があった場合又は飼い主が直ちに判明しない危険動物が逸走した場合において、人の生命、身体又は財産に対する侵害が切迫していると認めるときは、その職員に、当該危険動物を捕獲し、又は殺処分させることができる。
 3 危険動物の飼い主は、地震、火災等による緊急事態が発生したときは、その飼養をする危険動物の逸走の防止のために必要な措置を講じなければならない。

 (事故発生時の措置)
第42条 危険動物の飼い主は、その飼養をする危険動物が人の生命、身体又は財産に危害を及ぼしたときは、直ちに、適切な応急措置及び新たな事故の発生を防止するための措置を講ずるとともに、その事故及びこれらの措置について、知事に届け出て、その指示を受けなければならない。

 第6章 犬による危害の防止

 (係留をされていない犬の抑留)
第43条 知事は、第9条第1号アからエまでに掲げるものに該当しない場合において、係留をされていない犬があると認めたときは、狂犬病予防法(昭和25年法律第247号)第3条に規定する狂犬病予防員である者(以下「予防員」という。)に、その犬を抑留させなければならない。
2 予防員は、前項の抑留を行うため、狂犬病予防法第6条第2項の規定により指定された狂犬病予防技術員(以下「予防技術員」という。)を使用して、その犬を捕獲することができる。
3 予防員及び予防技術員は、捕獲しようとして追跡中の犬がその所有者又はその他の者の土地、建物又は船車内に入った場合において、これを捕獲するためやむを得ないと認めるときは、合理的に必要と判断される限度において、その場所(人の住居を除く。)に立ち入ることができる。ただし、その場所の管理者又はこれに代わるべき者が拒んだときは、この限りでない。
4 何人も、正当な理由がなく、前項の立入りを拒んではならない。
5 予防員及び予防技術員が犬の捕獲に従事するときは、その身分を示す証票を携帯し、関係人の求めにより、これを提示しなければならない。
6 知事は、第1項の規定により予防員が犬を抑留したときは、飼い主の判明しているものについてはその飼い主にこれを引き取るべき旨を通知し、飼い主の知れていないものについてはその旨を3日間公示しなければならない。
7 知事は、飼い主が前項の通知を受け取った後又は前項の公示期間満了の後1日以内にその飼い犬を引き取らないときは、これを処分することができる。ただし、飼い主からやむを得ない理由によりこの期間内に引き取ることができない旨及び相当の期間内に引き取るべき旨の申し出があったときは、その申出期間が経過するまでは、処分することができない。

 (係留をされていない犬の薬殺)
第44条 知事は、犬が人の生命、身体又は財産に害を加えることを防止するため緊急の必要がある場合において、前条第2項の規定に基づく捕獲を行うについて著しく困難な事情があると認めるときは、区域及び期間を定めて、当該区域を管轄する市町村長と協議して、犬を薬殺することができる。この場合において、知事は、人の生命、身体又は財産に害を加えないように、当該区域内及び近くの住民に対して、係留をされていない犬を薬殺する旨を周知させなければならない。
2 前項の規定に基づく薬殺及び住民に対する周知の方法は、規則で定める。

 (措置命令)
第45条 知事は、飼い犬が人の生命、身体又は財産に危害を及ぼしたとき、又は危害を及ぼすおそれがあると認めるときは、その飼い主に対し、期限を定めて、必要な限度において、特に厳重に係留をさせ、口輪をつけさせ、獣医師の検診を受けさせ、その他危害を防止するため必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

 (事故発生時の措置)
第46条 犬の飼い主は、飼い犬が人の生命、身体又は財産に危害を及ぼしたときは、直ちに、適切な応急措置及び新たな事故の発生を防止するための措置を講ずるとともに、その事故及びこれらの措置について、所轄保健所長に届け出て、その指示を受けなければならない。
2 犬にかまれた者は、遅滞なく、最寄りの保健所長にその旨を通報しなければならない。

 第7章 動物の引取り、収容等

 (犬及びねこの引取りの際の措置)
第47条 知事は、法第18条第1項の規定により犬又はねこの引取りを求められた場合においては、安易な飼養の放棄を認めることなく、所有者に対し、終生にわたり当該動物の飼養をするよう求めるものとする。
2 知事は、法第18条第1項の規定により所有者からその飼養をする犬又はねこの子を引き取る場合においては、当該所有者に対し、当該飼養をする犬又はねこの生殖を不能にする手術その他の措置を講ずるよう指導するものとする。

 (動物を負傷させた者のとるべき措置)
第48条 道路、公園その他の公共の場所において、犬、ねこ等の動物を負傷させ、又は死亡させた者は、速やかに、これを救護し、又は収容する等動物愛護精神に基づいた適切な措置を講ずるよう努めなければならない。

 (負傷動物等への措置)
第49条 知事は、法第19条第2項の規定により疾病にかかり、又は負傷した動物等を収容したときは、治療その他の必要な措置を講ずるものとする。

 (動物の譲渡)
第50条 知事は、動物の適正な飼養の普及のため、法第18条第1項又は第2項の規定により引き取った犬又はねこ、第43条第1項の規定により抑留した犬及び前条の規定により治療その他の必要な措置を講じた動物を、適正に飼養をすることができると認める者に譲渡することができる。
2 前項の規定に基づく譲渡を求める者は、あらかじめ、動物の適正な飼養に関し知事が別に定めるところにより実施する講習を受けなければならない。

 第8章 雑則

 (立入調査等)
第51条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、飼い主若しくは飼養施設を設置して動物取扱業を営む者に対し、飼養施設の状況、動物の管理の方法その他必要な事項に関し報告を求め、又はその職員に、飼養施設の設置場所その他関係のある場所に立ち入り、飼養施設その他の物件を調査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定に基づき立入調査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第1項の規定に基づく立入調査及び質問の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 (動物愛護監視員)
第52条 知事は、前条第1項の規定に基づく立入調査等その他の動物の愛護及び管理に関する監視及び指導を行わせるため、動物愛護監視員を置く。
2 動物愛護監視員は、獣医師等動物の適正な飼養に関し専門的な知識を有する職員のうちから、知事が任命する。

 (動物愛護推進員)
第53条 知事は、法第21条第1項の規定に基づき、動物愛護推進員を委嘱するものとする。

 (手数料等)
第54条 次の各号に掲げる事務につき、当該各号に定める額の手数料を徴収する。
 (1) 第13条の動物取扱業の登録の申請に対する審査 1件 5,100円
 (2) 第17条第1項の動物取扱業の登録の変更の申請に対する審査 1件 3,100円
 (3) 第23条の動物取扱業登録証の再交付 1件 1,900円
 (4) 第30条の危険動物の飼養の許可の申請に対する審査 1件16,000円
 (5) 第33条第1項の危険動物の数又は飼養施設の構造若しくは規模の変更の許可の申請に対する審査 1件 8,800円
 2 既納の手数料は、還付しない。
 3 飼い主は、第43条第1項の規定により抑留された飼い犬を引き取ろうとするときは、当該飼い犬の抑留中の飼養管理費及び返還に要する費用を負担するものとする。

 (補則)
第55条 この条例に定めるもののほか、この条例の実施に関し必要な事項は、知事が定める。

 第9章 罰則

第56条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
 (1) 第30条の許可を受けないで危険動物の飼養をした者
 (2) 第33条第1項の許可を受けないで危険動物の数を増やし、又は飼養施設の構造若しくは規模を変更した者
 (3) 第38条第1項又は第2項の規定に基づく命令に違反した者

第57条 第28条第2項の規定に基づく命令に違反した者は、30万円以下の罰金に処する。

第58条 次の各号のいずれかに該当する者は、20万円以下の罰金に処する。
 (1) 第13条の登録を受けないで飼養施設を設置して動物取扱業を営んだ者
 (2) 第17条第1項の登録の変更を受けないで第14条第1項第3号から第6号までに掲げる事項を変更した者
 (3) 虚偽の申請をして第13条の登録又は第17条第1項の登録の変更を受けた者
 (4) 第35条の規定に違反して危険動物を飼養施設の外に出した者
 (5) 第41条第1項の規定による通報をせず、又は虚偽の通報をした者
 (6) 第51条第1項に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定に基づく調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対し陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者

第59条 次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の罰金又は科料に処する。
 (1) 第9条第1号の規定に違反して飼い犬の係留をしなかった者
 (2) 第29条第3項の規定に違反して動物取扱業登録証を返納しなかった者
 (3) 第34条第1項若しくは第2項、第42条又は第46条第1項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
 (4) 第45条の規定に基づく命令に違反した者

第60条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第56条から前条までに規定する違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金又は科料を科する。

 附則
 (施行期日)
1 この条例は、平成17年10月1日から施行する。
 (犬による危害防止等条例の廃止)
2 犬による危害防止等条例(昭和33年岩手県条例第38号)は、廃止する。
 (経過措置)
3 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)前に、知事に対し法第8条第1項の規定による動物取扱業の届出をして引き続き飼養施設を設置して動物取扱業を営んでいる者は、第13条の登録を受けた者とみなす。この場合において、施行日前に法第8条第1項の規定により届け出た事項は、第13条の登録を受けた事項とみなす。
4 知事は、施行日に、前項の規定により第13条の登録を受けた者とみなされた者(以下「みなし登録業者」という。)に係る第14条第1項各号(第7号を除く。)に掲げる事項、登録の年月日及び登録番号を動物取扱業登録簿に登録するものとする。
5 みなし登録業者は、施行日から1年以内に、飼養施設を設置する事業所ごとに、専任の動物取扱責任者を置き、その者の氏名を知事に届け出なければならない。
6 前項の規定による届出をする前におけるみなし登録業者に係る第17条第1項の登録の変更については、第20条の規定は、適用しない。
7 知事は、附則第5項の規定による届出があったときは、動物取扱業登録簿に第14条第1項第7号に掲げる事項及び届出の年月日を登録し、同項第1号から第3号まで及び第7号に掲げる事項、届出の年月日並びに登録番号を記載した動物取扱業登録証を当該みなし登録業者に交付しなければならない。
8 みなし登録業者については、前項の規定による動物取扱業登録証の交付までの間は、第22条の規定(動物取扱業登録証の返納に係る部分に限る。)並びに第27条及び第29条第3項の規定は、適用しない。
9 附則第5項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、20万円以下の罰金に処する。
10 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同項の罰金刑を科する。
11 みなし登録業者でこの条例の施行の際現に飼養施設を設置して動物の美容を業として行っているものは、施行日から1年間は、第17条第1項の登録の変更を受けないでも、当該業務を行うことができる。その者が、その期間内に当該登録の変更の申請をした場合において、その期間を経過したときは、その申請について登録又は登録の拒否の処分があるまでの間も、同様とする。
12 みなし登録業者以外の者でこの条例の施行の際現に飼養施設を設置して動物の美容を業として行っているものは、施行日から1年間は、第13条の登録を受けないでも、引き続き当該業務を行うことができる。その者が、その期間内に当該登録の申請をした場合において、その期間を経過したときは、その申請について登録又は登録の拒否の処分があるまでの間も、同様とする。
13 この条例の施行の際現に危険動物の飼養(第30条各号のいずれかに該当するものを除く。)をしている者は、施行日から3月間は、同条の許可を受けないでも、引き続き当該危険動物を飼養することができる。その者が、その期間内に当該許可の申請をした場合において、その期間が経過したときは、その申請について許可又は不許可の処分があるまでの間も、同様とする。
14 この条例の施行の際現に危険動物の飼養(第30条各号(第3号を除く。)のいずれかに該当するものに限る。)をしている者は、施行日から30日以内に、規則で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならない。
15 前項の規定による届出をした者は、第40条の規定による届出をした者とみなす。
16 施行日前に附則第2項の規定による廃止前の犬による危害防止等条例の規定によりした処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によってした処分、手続その他の行為とみなす。
17 施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
 (一般職の職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正)
18 一般職の職員の特殊勤務手当に関する条例(昭和31年岩手県条例第52号)の一部を次のように改正する。
  第4条第1項第4号中「犬による危害防止等条例(昭和33年岩手県条例第38号)第3条の2第2項」を「動物の愛護及び管理に関する条例
 (平成17年岩手県条例第35号)第43条第2項」に、「第3条の3第1項」を「第44条第1項」に改める。
 (岩手県収入証紙条例の一部改正)
19 岩手県収入証紙条例(昭和39年岩手県条例第39号)の一部を次のように改正する。
  別表の2条例により徴収するものの項に次のように加える。
   (42) 動物の愛護及び管理に関する条例(平成17年岩手県条例第35号)による手数料
 (岩手県手数料条例の一部改正)
20 岩手県手数料条例(平成12年岩手県条例第16号)の一部を次のように改正する。
  別表第3中206の項を207の項とし、202の項から205の項までを1項ずつ繰り下げ、201の項の次に次のように加える。

  202 動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)第18条第1項の規定に基づく犬又はねこの引取り
  犬又はねこ引取手数料
  (1) 生後91日以上の犬又はねこ 1頭 2,000円
  (2) 生後90日以内の犬又はねこ 1頭 400円

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