発議案第8号 おたふくかぜワクチンの早期定期接種化を求める意見書
議決日:平成29年10月10日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣
おたふくかぜワクチンの早期定期接種化を求める意見書
おたふくかぜについて、A類疾病の「集団予防を図る目的で予防接種を行う疾病」に位置づけ、おたふくかぜワクチンの定期接種化を早期に実現するよう強く要望する。
理由
「流行性耳下腺炎」いわゆるおたふくかぜは、子どもを中心に流行し、発熱や耳の下の腫れを引き起こすウイルス性の感染症である。
日本耳鼻咽喉科学会が、全国5,565施設を対象に、2015年から2016年までの2年間におたふくかぜにかかり難聴になった人の数を調査したところ、少なくとも348人が難聴と診断され、このうち16人は両方の耳が難聴になっていた。
難聴になった人を年齢別に見ると、10歳未満が半数近くを占めており、学会では、おたふくかぜによる難聴は治療で回復させるのが難しいとして、重症化を防ぐためにワクチンの接種を受けるよう呼びかけている。
また、合併症である無菌性髄膜炎については、ワクチンを接種した方が、未接種でおたふくかぜに感染した場合よりも発症率が低いことが明らかとなっている。
しかし、現在おたふくかぜワクチンの接種は任意となっており、2回の接種を要するところ、1回の接種につき5,000円から7,000円程度の自己負担が生じるため、感染者のうちの60%を占める3歳児から6歳児の保護者の経済的負担は大きく、接種率が30%から40%程度と低迷し、感染のリスクが高い状態になっている。
海外では、麻疹風疹おたふくかぜ(MMR)ワクチンの2回接種が小児の定期接種に導入されている国が多く、先進国の中でおたふくかぜワクチンが定期接種化されていないのは日本だけとなっているとして、日本小児科学会も早急に定期接種化するよう求める要望書を2012年に提出しているが、未だに実現されていない。
また、厚生科学審査会感染症分科会予防接種部会おたふくかぜワクチン作業チーム報告書によれば、2回の定期接種化により、社会経済的視点では1年あたり289.8億円の費用低減が期待できると推計されており、社会保障費の軽減にも寄与すると期待される。
よって、国においては、おたふくかぜをA類疾病の「集団予防を図る目的で予防接種を行う疾病」に位置づけ、おたふくかぜワクチンの早期定期接種化を実現するよう強く要望する。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。