発議案第7号 大規模災害からの早期復旧に必要なエネルギー供給と流通網の確保を求める意見書
議決日:平成30年10月1日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、防衛大臣、内閣官房長官
大規模災害からの早期復旧に必要なエネルギー供給と流通網の確保を求める意見書
大規模災害の発生を想定した対応について随時検証し、早期復旧に必要なエネルギー供給と流通網の確保のための対策を更に充実させるよう強く要望する。
理由
近年、日本各地で地震や津波、また豪雨などによる災害が相次いでいる。
とりわけ本年は大阪府北部を震源とする地震や西日本豪雨、台風第21号、北海道胆振東部地震などによる災害が立て続けに発生し、多くの尊い人命が失われ、建物、道路、河川等にも大きな被害が生じている。
国においては、東日本大震災津波から得られた教訓を踏まえ、必要な事前防災及び減災その他迅速な復旧復興に資する施策を総合的かつ計画的に実施することが重要であるとの観点から、国土強靱化に係る国の他の計画等の指針となる国土強靱化基本計画を閣議決定し、各省庁横断的な取組を進めているところである。
しかしながら、現状では必ずしも十分な対策が取られていたとは言い難く、北海道胆振東部地震では、地震発生直後に道内の火力発電所が緊急停止し、電気の使用量と発電量のバランスが崩れたことで周波数が乱れ、北海道全域で停電が発生した。
また、燃料の供給も停止したため、道内各地に日用品や食品を運搬する民間の物流業者も燃料の確保の見通しが立たず、被災した地域のみならず北海道全域への物流が滞った。
この停電、燃料の不足と流通網の寸断により、医療機関は診察や手術を休止し、農林水産業や商工業等、広範囲に影響が生じ、住民生活や経済活動が大きな打撃を受けている。こうした事態は東日本大震災津波の際にも広範囲で発生していたが、近年頻発している大規模な災害においては、その教訓を踏まえた対策が十分に機能しなかった面がある。
国内では、毎年、大規模災害が多発しており、その頻度と被害の大きさはもはや想定外では済まされない。国民の生命と財産を守る責務を果たすためにも、緊急時のエネルギー供給と流通網の確保は不可欠であり、そのためにはエネルギー事業者等の民間事業者に対し、実効性のある事業継続計画の策定等について働きかけを強める必要がある。
よって、国においては、今後の防災、減災等の施策がより実効性のあるものとなるよう、大規模災害の発生を想定した対応について随時検証し、早期復旧に必要なエネルギー供給と流通網の確保のための対策を更に充実させるよう強く要望する。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。