発議案第10号 産前産後ケアの充実を求める意見書
議決日:平成30年10月1日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣
産前産後ケアの充実を求める意見書
全ての妊産婦が安心して出産・子育てができる環境づくりを進めるための取組の充実強化を図るよう強く要望する。
理由
近年、核家族化や地域のつながりの希薄化等によって、地域において妊産婦やその家族を支える力が弱くなっており、妊娠、出産及び子育てに係る妊産婦の不安や負担が増加している。
厚生労働省研究班が公表した調査結果によると、2015年、2016年の2年間で、産後1年までに自殺した妊産婦は全国で少なくとも102人おり、出産後に離婚などで姓が変わり調査できなかった人を加えれば、自殺者はもっと多い可能性があるということであった。
このことからも、妊産婦に対する産前産後ケアは十分とは言えず、子育ての不安や生活環境の変化から、精神的に不安定になりやすい妊産婦に対し、妊娠・出産を経て子育て期に至るまで、地域レベルでの切れ目のない支援の強化が必要である。
国においては、平成27年度から「妊娠・出産包括支援事業」を実施し、妊産婦等の孤立感や育児不安の解消を図るための専門家による相談援助や、地域の子育て経験者やシニア世代等に話し相手になってもらう等の産前・産後サポート、出産直後に休養やケアが必要な産婦に対し、心身のケアや育児のサポート等のきめ細かい支援や休養の機会を提供する産後ケア等を行ってきたところであるが、事業を実施している自治体はわずかであり、また、産後ケア施設の利用にあたっては金銭的な負担が大きいために利用できない妊産婦も多く、十分な支援にはつながっていないのが実情である。
よって、国においては、全ての妊産婦が安心して出産・子育てができる環境づくりを進めるため、次の措置を講ずるよう強く求める。
1 「妊娠・出産包括支援事業」の課題を速やかに検証し、全ての地方自治体において十分な産前産後ケア体制を構築できるよう支援の充実を図ること。
2 経済的な理由により、産前産後ケアが受けられないという事態が生じないよう、地方自治体への財政的支援も含めた利用者負担軽減策を講じること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。