発議案第8号 東日本大震災津波被災地の子どもと被災者の心のケア対策の継続的な財政支援を求める意見書
議決日:平成30年12月13日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、内閣官房長官、復興大臣
東日本大震災津波被災地の子どもと被災者の心のケア対策の継続的な財政支援を求める意見書
東日本大震災津波被災地の子どもと被災者の心のケア対策の継続のため、十分な財政支援等を講ずるよう強く要望する。
理由
東日本大震災津波の発生から7年9か月が経過した現在も、被災地においては、応急仮設住宅等での長期化した避難生活や、仮設住宅の集約による転居や恒久的住宅への移行による生活環境の変化などにより、被災者を取り巻く問題は、ますます深刻化・複雑化してきている。
応急仮設住宅入居者の解消が2020年以降になることも想定されており、被災者が地域に馴染み、安定した生活を営むことができるようになるまでには、なお相当の期間を要することが確実である。
また、発災後数年を経て心的外傷後ストレス障害様症状を発症する子どもも出てきており、被災者の不安や不調、精神症状が悪化した状態は、復興・創生期間終了後も続くと見込まれることから、被災地の子どもと被災者の心のケアは、2021年度以降も長期的な対策が必要である。
一方、東日本大震災津波で甚大な被害を受けた自治体の多くは、総じて財政力が弱く、復興の進捗に遅れが生じているほか、もともと精神保健医療福祉に携わる専門職等の確保が難しい地域でもあり、被災による専門職の離職、要支援者の急増、支援内容の高度化・複雑化等と相まって、求められる支援に対する精神保健医療福祉の提供体制は現在も極めて脆弱であり、専門的介入をなくしては、被災地の子どもと被災者の心のケア対策を十分に行うことが不可能な状況である。
しかし、2021年度以降における心のケア対策のあり方についての国の考えが示されていないため、岩手県こころのケアセンター及びいわてこどもケアセンターに携わる人材を安定的に確保し、長期的な運営を担保していくことが難しい状況となっており、必要な支援が無くなるのではないかとの被災地の大きな不安感につながっている。
よって、国においては、東日本大震災津波被災地の子どもと被災者の心のケア対策の継続のため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 被災地の子どもと被災者の心のケアは長期的な取組が必要であることから、国の方針を早期に示し、復興・創生期間終了後においても事業の実施に支障が生じないようにすること。
2 長期的かつ安定的な事業運営が可能となるよう、十分な予算を確保するとともに、国の全額負担による財政支援を継続すること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。