発議案第5号 最低賃金改正等に関する意見書
議決日:平成31年3月25日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣、中央最低賃金審議会長
最低賃金改正等に関する意見書
勤労者の労働条件の改善のため、最低賃金の引上げ及び中小企業に対する支援の充実について、適切な措置を講ずるよう強く要望する。
理由
労働基準法第2条は、労働条件は、労働者と使用者が、対等な立場において決定すべきものと定めているが、最低賃金の影響を受ける多くの非正規労働者やパートタイム労働者は、労働条件の決定にほとんど関与することができない状況にある。
一方、政府においては、最低賃金について、平成22年の雇用戦略対話において初めて数値目標を示し、また、経済財政運営と改革の基本方針2018やニッポン一億総活躍プランにおいて年率3%程度の引上げを目指すとしているが、あるべき水準への引上げができていない現状にある。
また、人手不足が深刻化する中において、都市部との間に生じている賃金格差は、県内勤労者の人材確保をさらに厳しくする要因となっている。
これらの課題に対応するためには、地域間の賃金格差の是正、賃金水準の大幅な引上げが必要であるが、その実現には、中小企業の安定した経営が不可欠である。
よって、国においては、最低賃金の引上げ及び中小企業に対する支援の充実について、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 最低賃金に関し、次の事項を改善すること。
(1)最低賃金の改正に当たっては、雇用戦略対話の合意に基づき、早期に最低でも800円を確保し、景気状況に配慮しつつ全国平均1,000円に到達させること。
(2)全国一律最低賃金制度の確立等、地域間格差を縮小させるための施策を進めること。
2 以下の制度改正を行うこと。
(1)最低賃金を年金支給額、下請単価、企業や農業者の労働単価等と連動させ、ナショナルミニマムの基軸とすること。
(2)中小企業に対する大企業による優越的地位の濫用、支払い遅延やいわゆる買いたたき等をなくすため、中小企業憲章を踏まえて、中小企業基本法、下請代金支払遅延等防止法、下請中小企業振興法及び独占禁止法を抜本的に改正すること。
(3)最低賃金を引き上げるため、中小企業振興策を拡充するとともに、中小企業の負担を軽減するための直接支援として、賃金助成制度並びに中小企業及び中小企業で働く労働者の社会保険料負担や税減免制度を創設すること。
3 中小企業に対する支援の充実とその周知を図り、安定した経営を可能とする対策を講じること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。