発議案第9号 母乳育児と仕事の両立支援を求める意見書
議決日:令和元年12月11日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、厚生労働大臣
母乳育児と仕事の両立支援を求める意見書
働く女性が希望どおり母乳育児を続けられるよう、母乳育児を支える労働環境の整備等を図ることを強く要望する。
理由
近年、出産後も働き続ける女性、また、母乳育児を望む女性の割合が増加している。
厚生労働省の平成27年度乳幼児栄養調査によると、妊娠中の93.4%の女性が母乳で子育てすることを希望している。
また、同調査によると、授乳期の栄養方法は、母乳栄養の割合が生後1か月では51.3%、生後3か月では54.7%となっており、いずれも10年前の調査と比較し、母乳栄養の割合が増加している。混合栄養も含めると、母乳を与えている割合は、生後1か月で96.5%、生後3か月で89.8%と高い水準となっている。出産後1年未満で働き始めた母親の母乳栄養の割合は49.3%となっており、10年前の26.7%と比較し、22.6ポイント増加し、働きながら母乳育児を行う女性が増加している。
母乳育児を行う・行わない、どれくらいの期間行うということは、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)に含まれ、国においては、男女共同参画基本計画において、生涯を通じた女性の健康について、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの視点の重要性を謳っている。
しかしながら、出産後1年未満で職場復帰している女性の多くは、職場で搾乳できる場所や母乳を保存する設備がなく、不衛生なトイレで搾乳したり、また、職場と保育所が離れていて直接授乳できず、職場復帰後、母乳育児を断念している現状がある。
よって、国においては、働く女性が希望どおり母乳育児を続けられるよう、母乳育児を支える労働環境の整備等を図るため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 働く女性の出産後の仕事復帰と母乳育児の現状と課題について、実態把握に努めること。
2 職場復帰後に母乳育児が続けられるよう、衛生的でプライバシーが守られる場所での搾乳・保存が可能となるように職場環境を整備するなど、具体的な支援を行うこと。
3 母乳育児の権利について、社会的理解の促進に努めること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。