発議案第1号 新型コロナウイルス感染症対策に関する意見書
議決日:令和2年5月20日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、内閣官房長官、経済再生担当大臣
新型コロナウイルス感染症対策に関する意見書
新型コロナウイルス感染症対策のための補正予算を早急に編成し、経済及び雇用を回復させ、医療及び国民生活を守る対策を講ずるよう強く要望する。
理由
令和2年5月14日に本県を含む39県が緊急事態宣言の対象地域から解除されたが、新型コロナウイルス感染症収束の見込みは立っていない状況にある。
本県は、現時点においては感染者が未確認であるが、これまで他県と同様に検査・医療体制の整備、事業者に対する休業要請、県民への不要不急の外出自粛呼びかけ等を行ってきた。
様々な活動の自粛に伴い、地域経済への影響は深刻なものとなっており、雇用、経済、県民生活の回復や健康維持等に係る財政需要は莫大なものとなっている。
よって、国においては、新型コロナウイルス感染症対策のための補正予算を早急に編成し、経済及び雇用を回復させ、医療及び国民生活を守るため、次の対策を講ずるよう強く要望する。
1 地方財政措置の充実
(1)新型コロナウイルス感染症による現下の厳しい状況に鑑み、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」及び「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」の大幅な増額など次なる財政支援を講ずること。
(2)新たな地方負担や地方独自の取組に対し財政運営上支障が生じることのないよう、適切な地方財政措置を講ずること。
(3)東日本大震災津波からの復興を目指す本県にあっては、その後の台風災害なども重なり、厳しい環境にあることから、十分に配慮した財政措置を講ずること。
2 経済・雇用対策の拡充
(1)雇用調整助成金の上限額を引き上げ、事後審査による速やかな支給、申請手続の簡素化を図るとともに、特例措置期間を延長すること。
(2)持続化給付金について、売上減少要件の緩和や手続の簡素化、必要に応じて複数回の給付を行うなど、支援を充実すること。
特に、甚大な影響を受けている宿泊業、旅行業、飲食業、運輸業、交通事業などの事業者に対して、抜本的な経営支援策を講ずること。
(3)売上が減少している事業者の家賃等の固定費負担を軽減する法的措置や、国の支援制度を早急に創設すること。
(4)新型コロナウイルス感染防止策を講ずるための設備投資補助金制度を早急に創設すること。
(5)融資や返済猶予等の資金繰り対策、税負担の軽減などの支援を充実すること。
(6)雇用調整助成金、持続化給付金等、各種経済支援に関する情報発信の強化並びに電子申請に不慣れな者も念頭に置いた相談窓口の体制強化を図ること。
(7)外国人技能実習生の受入れに支障が生じていることに伴う事業の縮小や停止が生じないよう、人材確保や収入補償などの支援策を講ずること。
(8)需要が大幅に減少している農畜産物等の消費拡大に係る取組の一層の強化を図ること。
(9)新型コロナウイルス感染症に関する法テラスでの法律相談業務のオンライン化を図ること。
3 医療・検査体制の確保
(1)PCR検査の受検機会を拡大するため、随時検査基準や目安の見直しを行うとともに、都道府県における検査体制の整備を支援すること。
また、簡易検査キットの実用化を進めるとともに、抗原検査や抗体検査の実施に積極的に取り組むこと。
(2)発熱外来や地域外来・検査センターの設置等、効率的な診療・検査体制の確保に係る国の財政的、人的な支援を図ること。
(3)特効薬やワクチンの早期実用化に向け、国を挙げて新薬の開発に取り組むこと。
また、既に開発が進んでいる治療薬については、早期の実用化を進めること。
(4)医療従事者に対する手厚い危険手当の支給などの処遇改善を支援する措置を講ずること。
(5)軽症者や無症状者等を受け入れる宿泊施設と、そこでの医療従事者の確保などに対する支援を充実すること。
(6)医療的ケアが必要な児童やひとり暮らしの高齢者、ひとり親家庭、妊産婦等、新型コロナウイルス感染時に特段の配慮が必要な世帯に対して、的確な支援策を講ずること。
(7)医療機関等が、感染防御等に必要なサージカルマスクや防護具などの医療物資や人工呼吸器等の医療機器を迅速に確保できるよう、対策を講ずること。
また、社会福祉施設等へのマスク、消毒液等の供給体制を強化すること。
4 教育への支援
(1)学校の臨時休業により自治体間や児童生徒間で学習機会の格差が生じないよう、ICT等を活用した学習等が可能な環境の整備を早急に進めること。
また、大学入学試験での対応をはじめ、最善な学習機会確保のための各種対策を講ずること。
(2)新型コロナウイルス感染症拡大の影響により困窮している学生を支援するため、授業料等の減免、一時金や給付型奨学金の支給などの支援策を講ずること。
また、奨学金の返還期限の猶予等の措置を講ずること。
5 安全・安心な社会生活の確保
(1)不正確な情報による混乱を避けるため、引き続き迅速かつ正確な情報提供に努めるとともに、国民や企業等に対し冷静な対応を呼びかけること。
(2)医療従事者やその家族の安全の確保に十分に配慮するとともに、感染者やその家族、医療機関等が不当に差別的な扱いを受けることのないよう、関係機関と連携し対応を強化すること。
(3)今後発生する可能性のある災害を想定し、避難所の開設に際し、自治体が必要な感染防止対策が講じられるよう財政措置を講ずるとともに、マニュアルを作成し、周知に努めること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。