発議案第5号 東日本大震災津波をはじめ災害からの復興とふるさと振興の推進等のための地方財政の充実、強化を求める意見書
議決日:令和2年7月6日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣、内閣官房長官、復興大臣、内閣府特命担当大臣(防災)、内閣府特命担当大臣(地方創生)
東日本大震災津波をはじめ災害からの復興とふるさと振興の推進等のための地方財政の充実、強化を求める意見書
東日本大震災津波、平成28年台風第10号災害及び令和元年東日本台風災害からの速やかな復興をはじめ、新型コロナウイルス感染症への対応、地方公共団体における確実な行政運営の推進、その基盤となる地方公務員の人材確保等に向けて、地方財政の充実、強化を図るよう強く要望する。
理由
東日本大震災津波及び相次ぐ台風災害からの速やかな復旧・復興に当たっては、安定した財源の措置が必要不可欠であり、加えて、度重なる非常災害に備えた体制強化、子ども・子育て支援策の充実、医療・介護などの社会保障への対応、地域交通の維持などの諸課題をはじめ、新型コロナウイルス感染症による現下の厳しい状況に迅速かつ適切に対応するためには、人材の確保とともに、これに見合う地方財源の確保が極めて重要である。
また、臨時、非常勤職員の適正な任用、勤務条件を確保するため、本年4月から会計年度任用職員制度が導入されたが、財源措置の見通しが立たない中で、処遇改善に至っていないという声もあり、常勤職員を中心とする公務運営の原則を維持しつつ、会計年度任用職員の適正な勤務条件の確保に必要となる財政需要の増加に対応するための一層の地方財政措置が必要である。
よって、国においては、2021年度の政府予算と地方財政計画の検討に当たって、東日本大震災津波、平成28年台風第10号災害及び令和元年東日本台風災害からの速やかな復興をはじめ、新型コロナウイルス感染症への対応、地方公共団体における確実な行政運営の推進、その基盤となる地方公務員の人材確保等に向けて、地方財政の充実、強化を図るため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 2021年度地方財政計画の策定に当たり、東日本大震災津波及び台風災害からの復旧・復興をはじめ、子ども・子育て支援、地域医療の確保、介護、児童虐待防止など、急増する社会保障ニーズへの対応と、これらに必要な人材を確保するための社会保障予算の確保及び地方財政措置を的確に行うこと。とりわけ、幼児教育・保育の無償化に伴う地方負担分の財源確保を確実に図ること。
2 感染症の防疫体制、医療体制の拡充のため、保健所機能の集約、公的医療機関の縮小などこれまで進められてきた政策を見直すとともに、保健衛生や地域医療の拡充に係る財政措置を講じること。
特に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止は喫緊の課題であることから、今年度補正予算による早急な対応を含め、経済及び雇用を回復させ、医療及び国民生活を守るための十分な予算を確保すること。
3 東日本大震災津波からの復興に当たり、切れ目のない被災者支援と産業・生業の再生に係る支援措置の継続、強化に力点を置き、引き続き地方公共団体が施策を進めるために必要な復興事業費総額の確保を図ること。
4 災害時においても住民の命と財産を守る防災・減災事業は、これまで以上に重要であり、自治体庁舎をはじめとした公共施設等の耐震化や緊急防災・減災事業の対象事業を拡充するとともに、十分な事業期間を確保すること。
5 地方交付税の財源保障機能、財源調整機能の強化を図り、各地方公共団体における新たな財政需要の把握、小規模地方公共団体に配慮した段階補正の強化などの対策を講じること。併せて、地方交付税原資の確保のため、地方交付税法第6条第1項に定める対象国税4税(所得税、法人税、酒税、消費税)の法定率引き上げを行うこと。
また、地域の実情を無視し、財源保障機能を損なう算定方式である業務改革の取り組み等の成果を反映した算定を廃止、縮小するとともに、人口が急減又は急増した自治体の行財政運営に支障が生じることのないよう配慮するなど、地方交付税算定の在り方を引き続き検討すること。
6 地方公共団体の基金残高を、地方財政計画や地方交付税に反映させないこと。
7 森林環境譲与税の譲与基準について、私有林人工林面積や林業就業者数の多い地方公共団体への譲与額を増大させるよう見直しを進めること。
8 地方公共団体における会計年度任用職員の適正な勤務条件の確保に向けて、引き続き所要額の調査を行い、必要な財源確保を図ること。併せて、地方公共団体の公務運営に当たり、任期の定めのない常勤職員を中心とする公務運営の原則を維持するとともに、行政需要に応じた常勤の地方公務員の確保に係る地方財政措置の拡充を図ること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。