発議案第11号 新型コロナウイルスのワクチン接種等に関する意見書
議決日:令和3年3月25日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣、内閣官房長官、内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、内閣府特命担当大臣(規制改革)
新型コロナウイルスのワクチン接種等に関する意見書
新型コロナウイルスのワクチン接種等に関し、医療体制及び国民生活を守るため、次の対策を講ずるよう強く要望する。
理由
新型コロナウイルスのワクチン接種が日本でも進んでいるが、新型コロナウイルス感染症の1日も早い収束のためには、多くの国民に安心、納得してワクチンを接種してもらうことが必要である。
そのためには、新型コロナウイルスのワクチン接種について、政府による迅速な情報公開や優先接種等に関する科学的根拠に基づいた説明が不可欠である。
また、ワクチンの接種体制を整備するため、地方公共団体に対して国が必要な支援を適切に行うことも急務であり、地方公共団体で混乱が生じ、ワクチン接種に大幅な遅れが生じないよう配慮する必要がある。
よって、国においては、新型コロナウイルスのワクチン接種に関し、医療体制及び国民生活を守るため、次の対策を講ずるよう強く要望する。
1 ワクチンの確保
十分な量のワクチンや接種に必要な医療機器等を確保し、供給されるワクチンや時期等の詳細を早期に地方公共団体に示すこと。
2 スケジュールの明確化及び接種体制の整備
(1)ワクチン接種のスケジュールについては、関係者間の十分な調整と地方公共団体の意見の反映を行い、国が責任を持って早期に具体的な計画を提示すること。
(2)ワクチンの接種に際しては、大規模な接種を円滑に実現するため、国民の利便性や医療従事者の負担などを十分に考慮し、地域の実情に応じた柔軟な対応を認めるとともに、不測の事態への国としての対応も含めて万全の支援を行うこと。
(3)迅速にワクチン接種を進めるためには、医療従事者の確保が不可欠であることから、接種事業への協力に十分なインセンティブを付与すること。
(4)契約締結に至っているワクチン3種類について、それぞれ保管の条件や供給単位など取扱いが異なることから、確実かつ早急なワクチン接種を進めるため、日本医師会等への協力要請を行うなど、国全体で早めに接種体制を整えること。
(5)被接種者の送迎、ワクチンの配送に関し、地方公共団体の意見も踏まえ事業者等の多様な主体の参画により、確実に実施すること。
(6)ワクチン接種に必要と考えられる事項の周知・啓発について、国において素材を準備・配布するとともに、接種に係る手続き等を簡略化するなど、市町村の負担軽減を図ること。
3 正確かつ速やかな情報提供
ワクチン接種について、国民が理解及び判断ができるよう、科学的で正しい情報を積極的かつ速やかに提供すること。
4 ワクチン接種円滑化システムの早期構築
接種事業を迅速に混乱なく進めるため、ワクチン接種に係る新システムについて、市町村に過度な負担を課さない設計を行い、早急に構築すること。
5 相談体制の整備
ワクチン接種について、十分な相談窓口を設置し、広く周知するとともに、必要に応じて法律相談にも対応できる体制を整備すること。
6 副反応への対応
(1)ワクチンの副反応に対して医療上の措置を適切に行える体制を整備するとともに、先行接種における有害事象の検証を可能な限り行い、一般接種に反映できる体制を構築すること。また、迅速かつ詳細に情報提供すること。
(2)各都道府県に設置が求められている副反応の専門的な医療機関については、大学病院や急性期病院など地域の中核的医療機関に設置されることが想定されているが、これらは、通常診療に加え、様々な新型コロナウイルス感染症対応を実施している状況であるため、国において、その他の医療機関を含めた役割を整理し一定の方向性を示すこと。
また、副反応の専門的な医療機関への協力依頼内容について、国が具体的内容を示し、都道府県で対応が異なることがないようにすること。
7 財源確保
ワクチン接種費用については、国が全額負担するものとし、地方公共団体の意見も踏まえ、不安なくワクチン接種を進められるよう、必要な財源を確保すること。
8 ワクチン開発等
基金の創設など大胆な資金投入による国産ワクチンの開発、製造に向けた支援を行い、必要十分なワクチンの確保・供給を図ること。
また、治療薬等の研究開発を行う企業に対し重点的な支援を行うほか、医薬品・医療機器等の産業育成を戦略的に進めること。
9 その他
(1)ワクチン接種事業の指標の共有
ワクチン接種事業の効果の一応の目安となる指標及び経済活動再開の指標を定め、国民と共有すること。
(2)ウイルスゲノム変異のモニタリング
ウイルスゲノム変異を官民一体となった全国的な体制で監視し、新たな変異が認められた場合には、ワクチンの効果を検証すること。
(3)感染防止の徹底
今後、就職・入学などの移動期を迎えることから、ワクチン接種事業と並行し、感染の再拡大につながらないよう、感染防止の徹底を呼び掛けること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。