発議案第1号 東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の海洋放出決定について十分な説明と慎重な対応を求める意見書
議決日:令和3年4月15日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、環境大臣、復興大臣
東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の海洋放出決定について十分な説明と慎重な対応を求める意見書
東京電力福島第一原子力発電所における多核種除去設備で処理された水(以下「ALPS処理水」という。)の海洋放出決定について、国民への十分な説明と慎重な対応を行うよう要望する。
理由
政府は、東京電力福島第一原子力発電所の敷地内にたまり続けるトリチウムなどを含むALPS処理水の海洋放出を令和3年4月13日に決定した。東日本大震災から10年を迎え、新たな課題が山積する中、復興を目指すうえで看過することができない措置である。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響もあり、関係者への説明や広く意見を聴く機会が十分に設けられなかったことに加え、ALPS処理水について、福島県では周辺地域の漁協や農協をはじめとする団体等からも海洋放出反対の意見が出され、多くの市町村議会などからも反対、あるいは丁寧な意見聴取や風評被害対策を求める決議や意見書が提出されている。
また、経済産業省が実施したパブリックコメントに寄せられた4,011件の意見のうち、海洋放出によるALPS処理水の安全性への懸念を示す意見が約2,700件にものぼるなど、国民の理解が十分に進んでいるとは言えない状況にある。
このような状況のもと、風評被害対策の具体策が示されることなく、海洋放出を決定したことは、復興を目指す本県漁業関係者をはじめ、県民に大きな不安を与え、真の復興に水を差す行為である。このまま海洋放出すれば、本県の漁業に多大な打撃を与えることが懸念される。
よって、国においては、被害を受ける漁業関係者をはじめとする県民の思いを真摯に受け止め、海洋放出について十分な説明と慎重な対応を行うよう求める。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。