発議案第4号 精神保健医療福祉の改善を求める意見書
議決日:令和3年12月8日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、内閣官房長官
精神保健医療福祉の改善を求める意見書
精神疾患等があっても地域の一員として安心して暮らし続けられる社会の実現のため、患者、利用者本位の精神保健医療福祉に改善するよう強く要望する。
理由
現行の日本の精神保健医療福祉においては、入院医療中心から地域生活中心へという方針のもと、早期の退院支援や地域定着支援に取り組んでいるところであるが、地域生活を基盤とした諸外国と異なり、いまだに入院が長期化しており、在院期間1年以上の患者が約17万人となっている。また、全国の精神科病院内における隔離、身体拘束指示件数は、ここ数年減少傾向にはあるものの、依然として毎年2万件を超える状況が続いている。精神疾患や精神障害に関する普及啓発の取組はこれまで様々な手法を用いて取り組まれているが、精神障害に対する差別や偏見は依然として解消すべき課題となっている。
また、良質な医療の提供のためには、更なる診療報酬の引上げや、精神科における医療従事者の体制を充実させる施策の推進が必要である。
加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大による行動変容等は、多くの国民にとって精神的な負担となっており、適切なメンタルヘルス対策を講じることは喫緊の課題となっている。
よって、国においては、精神疾患等があっても地域の一員として安心して暮らし続けられる社会の実現のため、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 良質な医療の提供に向け、医療法施行規則で定める配置基準の引上げをはじめとする、精神科医、看護職員等精神科専門職の配置を充実させる施策の検討を進めること。
また、入院中の精神障害者の隔離、身体拘束をできる限り減らすための取組みを推進すること。
2 精神疾患や認知症があっても地域で安心して生活できるよう、適切な支援と治療を受けることができる包括的で継続的な支援体制の整備を促進すること。
また、差別、偏見をなくすための啓発を進め、施策には当事者、家族の声をより一層反映させること。
3 入院中心から地域への移行を進めるため、精神保健福祉予算を更に拡充すること。また、労働者の雇用保障、教育、研修等の対策をより一層充実させること。
4 新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により生じうるメンタルヘルス対策を一層充実させること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。