発議案第3号 最低賃金改正等に関する意見書
議決日:令和4年3月25日
議決結果:原案可決
意見書提出先:衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣、中央最低賃金審議会長
最低賃金改正等に関する意見書
勤労者の労働条件の改善のため、最低賃金の引上げ及び中小企業に対する支援の充実について、適切な措置を講ずるよう強く要望する。
理由
労働基準法第2条において、労働条件は、労働者と使用者が、対等な立場において決定すべきものと定められているが、最低賃金の影響を受けるパートタイム、有期労働契約及び派遣労働者の多くは集団的労使関係になく、労働条件決定に関与することが難しい状況にある。
一方、政府においては、経済財政運営と改革の基本方針2021(令和3年6月18日閣議決定)において、賃上げしやすい環境整備に一層取り組みつつ最低賃金を早期に全国加重平均1,000円とすることを目指すとの方針を掲げ、さらに、令和4年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(令和4年1月17日閣議決定)においても賃上げの促進による働く人への分配機能の強化を推進するとしている中にあって、本県の最低賃金は、全国でも下位に置かれている。
また、都市部との賃金格差解消に至っておらず、さらに東北6県の中では最下位となり、若者の他県への流出が懸念され、人手不足が深刻化する中にあって、県内勤労者の人材確保をさらに厳しくする要因となっている。
これらの課題に対応するためには、サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正配分とともに、各種助成金制度の拡充と手続の簡素化を行い、中小企業が経営基盤を強化し、賃上げ原資を確保することが重要である。
よって、国においては、最低賃金の引上げ及び中小企業に対する支援の充実について、次の措置を講ずるよう強く要望する。
1 最低賃金に関し、次の事項を改善すること。
(1) 最低賃金の改正に当たっては、2010年の雇用戦略対話における最低賃金の引上げに関する合意を踏まえ、全国平均1,000円を実現させること。
(2) 全国一律最低賃金制度の確立等、地域間格差を縮小させるための施策を進めること。
2 最低賃金の引上げ及びコロナ禍を克服して経営が継続できるよう中小企業振興策を拡充するとともに、中小企業の負担を軽減するための直接支援として、賃金助成制度並びに中小企業の社会保険料負担や税減免制度等を創設すること。
3 新型コロナウイルス感染症の感染拡大から命と生活を守るために最前線で働く労働者の処遇改善と、中小企業に対する支援制度の更なる充実及び利用促進のため周知の強化を図り、安全で安心な暮らしの実現のための対策を講じること。
上記のとおり地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。